転校生でみんな人気者の女子、中川さん。そっと彼女に憧れを抱く主人公の蓮。
そんな蓮が、中川さんを主人公にして執筆した夢小説を書いたノートを、学校で紛失するところから話が始まります。なんとも自分の身に起きたと考えるとゾッと鳥肌が立つ状況です。
蓮のノートはあっさりと別のクラスメートに発見されるも、中川さん本人が執筆した小説だと勘違いされ、話はどんどんおおごとになっていきます。
短い話の中に込められたスピード感と予想を上回る展開、そして最後はほろり、きゅんと纏めあげられるストーリーは本当に見事です。
ラブコメが好きな方、クスリと笑って癒されたい方に、ぜひおすすめのお話です。
『いつも本ばっかり読んでるのね! それ何の本?』
きっかけはほんの些細なことだった。
主人公の宮田蓮はある日自身が書き溜めていた小説を綴った一冊のノートを落としてしまう。それは学校中の人気者、中川さんとの妄想を詰め込んだいわゆる『夢小説』のノート。
焦る主人公、拾ってしまったクラスメートがそれをクラスのグループトークで話題にしてしまった事で、とんでもないドタバタ騒動が幕を開けてしまうことになる……!!
とにかく勢いのあるストーリー、『蓮軍団』と称される個性的なイケメンたち、収束のつかない事態に、主人公の蓮くんはもう焦る焦る!
中川さんとの関係は。
夢小説騒動は一体どうなるのか。
そして「僕」の恋心は——?
一気読み必至、そのまさに「ぶっ飛んだ」結末を全員刮目せよ!!
憧れの中川さんとのラブラブ話をノートに書き留めていた宮田蓮くん。ラブラブ話は全部彼の妄想です。しかし彼はそのノートを落としてしまいました。不運にもクラスメートに拾われたノートは、中川さん自身が書いたものと誤解され、結果として、「中川さんの好きな相手は〈蓮〉である」という憶測が流れるわけです。さて、この学校には、宮田くんの他にもたくさんの蓮くんが存在しており、その蓮くんたちもみな中川さんに憧れを抱いていたことから、この恋愛模様は学校を揺るがす大騒動へと発展し……
この先はどうぞご自身の目でご確認ください。
凛々さんの作品の魅力は色々とありますが、この短篇にはその全てがギュッと凝縮されています。芯のある女の子、格好はつかないけれど見せ場をつくれる男の子、そして、軽いノリからは予想できないほど巧緻に仕組まれたプロット。物語を彩る諸要素が密に絡み合って一つの悲喜劇を作り上げる、その過程を見守るだけでも一読の価値はあります。
偽りの夢小説が、真実に触れるとき、新たな物語の幕は開くのでしょう。