俺の最強のカウンターっ!!
@kittobest
僕から俺へ
目が覚めた。
僕は大神尾鹿、尻尾の尾に鹿と書いて
「おはよー」
うちは平屋なので布団からおきあがって目の前にあるふすまを開けたらすぐリビングである。
「んー、おはよー」
母がテレビを見ていた。
僕は顔をしかめた
「また録画?朝はニュースにしてって言ってるじゃん」
ふすまの向こうから聞こえる音で大体想像はついていたが、母いっつも朝は録画したバラエティーを見ている。
「最近の社会情勢とか興味ないのよねー、ぶっちゃけニュースとかよりバラエティーずっとやっててほしいな」
母は怠惰だった。
「ニュース見てた方が唯意義なの!そっちの方がためになるの!」
母のだらしない発言に全力で反抗する。結局ニュースは見せてもらえず、朝からバラエティーを見た流れで制服に着替えて、靴を履く。
そして振り向いて行ってきます、という。行ってらっしゃいと返ってきた。
ぎこちない笑いを浮かべ、家を出た。
ぶっちゃけ僕は情弱である。
強く言われたら何事も断れないし、命令通り動いてしまう。
簡単な例を挙げよう、今日の学校にての話だ。
それは隣の女子との会話。
「尾鹿君!今日ちょっと筆記用具忘れちゃって、一式貸してくれない?定規とか赤青ペンとか」
「一式は……ちょっと困るけど、シャーペンと消しゴムだけなら貸せるよ」
赤青ペンはその時机に出しているものだけしか持ってきていなかった(予備かなかった)ので貸せなかった。
「えー、でも私今日赤青で書かなきゃいけない課題とかいっぱいあるし、尾鹿どうせ赤青ペンとか使わないでしょー?賢いし色付けなくてもノート覚えられるって!」
「でも……」
「は?なんでそんなに渋るの、そろそろ鬱陶しいんですけど」
「……分かりました、はい」
ペン一式を渡す
「ありがとー!キリがついたら返すね、それと鬱陶しいとか言ってごめんねー」
それはクラスの男子との会話
「おーい、誰だっけ……まいい、ちょっとお使い頼まれてくれない?」
「なに……急に」
「その反応ねーだろ……感じ悪すぎ……なあ?」
「それなー、マジ感じ悪すぎで草」
「なんで急に話しかけられてそんなこと言われなきゃ」
「そんな事どーでもいいわ、今回は感じわるいの許してやるから飲み物買ってこいよ。今の会話でのど乾いたんだわー」
「え?……でも……」
「つべこべ言わずに買ってこいよ!今機嫌悪ぃんだ」
「……はい」
この後、飲み物代は出さないし、ペンは帰ってこないし。そんなことがいっつもだ。
だらしない足取りで家に着く。
「ただいま、ちょっとクラスの仕事手伝ってて遅くなった」
借りパクされるはパシられるはの後に、実はクラス委員の仕事を手伝っていたというか、押し付けられて一人でやっていた(主に教室の点検)
「おかえり、今日は私も仕事多くて疲れたからインスタント麺でも勝手食べてくれると嬉しい」
「……」
そんな言い方されると、ごはんぐらい作ってくれなんて言えない。
その夜はインスタント麺を作って食べて、すぐ寝た。
襖の前に布団を敷いて、腰を下ろし、布団をかぶった。
その夜は、いつもより少し寂しかった。
その夜は、少し寒かった。
その夜は、恐ろしいほど深い眠りだった。
俺の最強のカウンターっ!! @kittobest
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