仲間思いの熱い主人公が可哀想な目にあったり空回りしながらも、着実な歩みで陰謀へと立ち向かうお話。
視点がちょこちょこ移り変わり、最初は多少困惑することもあるかもしれませんが、慣れてくると作者様の考えている秀逸な「設計図」に引き込まれます。なんだろうなー?と疑問を残しつつ読み進めていくと、別の登場人物の行動によって点と点が線で繋がっていくような爽快設計が癖になります。
この作者様は残念美人に強いこだわりがあるようで、登場する女性たちはことごとく残念な一面を持っています。あげくの果てには少女やロボまで残念という徹底っぷり。しかし、そんなところがとても魅力的で、読者は必ずお気に入りの個性的なキャラクターに出会えることでしょう。
一風変わった読点や改行、空白の使い方をしているこの作品、ガラケーで小説を読んでいた頃のような、どこか懐かしい雰囲気があります。句点にいたっては記憶が正しければ、今のところ1度しか出てきていない上、句点としての役割で使われていません。
この手法、緊張感のある場面で連続する空白や改行などが非常に効果的で、この作者様にしか作れない独特の“間”が生み出されています。文法警察様に屈することなく続けてほしいと思います。
作者様が読み合いしないことを公言されているようですが、フォロワー数やPV数がこの物語の面白さを証明しており、もっと★★★評価が高くても全く不思議ではありません。カクヨムならではの盲点ですね。
五章中盤あたりから、前述したように点と点が一気に繋がり始め、なるほど納得の展開が押し寄せます。少なくともそのあたりまでは、腰を据えてじっくり読んで欲しい超オススメ作品だと思います。