MARIONETTE〜ただ一人の人類

@vcG

第1話

「文明は滅ぼせるのだろうか?」


そんな時——人は躊躇いに苛まれるだろうか?

  光も入らぬ霊鞍の中。 彼は機械のように淡々と答えてくれた。 

「その世界は滅ぼせるでしょう。 ですが、今の世界に、私は、居てはいけない」 

傍から聞けば、一見ブラックジョークに見せた言葉が、何を意味したのか。

どんな未来を誘引したのか……

其の者の言った通り、人類が安寧を得ることのなかった。

未来の中で語ろうと。 私は矜持したのだった。

『私達は人を始まりとして誕生した。 ——人という世界を淘汰し、人類を平穏なサンクチュアリへ、メメントモリへ導くことを……』

  「世界は滅ぼせるでしょう」 

微かな露命が尽き果てていくような言葉を他所に、流れる水の音と共に。 

月日は流れてゆき——

『時代は2199年』

世は世紀末を迎え、人々は待ちわびていたかのような、拍手を送る事も無く。

さもありなんと日常を迎合しているのか……?

それは、どちらもあり得る可能性だと言っておきましょう。

  「私はエンフォーサー。 人類の管理者であり——人類の神と言われるべき、聖骸布である」

 これより語る物語は、実世界を模倣した、アクアリウムで暮らす少年が抱いた。 

郷愁の地を目指し、躍動する冒険譚であります。 時に逆らうように、闊艱難辛苦が彼を襲うでしょう。 ですから、その旅路に幸あれと。 

どうぞ彼の行く末を、眩い夢の中へお持ち帰りください。

 それでは開園です。

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