第5話_東京ユグドラシル4

世界樹とは、インド・ヨーロッパ、シベリア、ネイティブアメリカンなどの宗教や神話に登場する、世界が一本の大樹で成り立っているという概念、モチーフ。世界樹は天を支え、天界と地上、さらに根や幹を通して地下世界もしくは冥界に通じているという。(Wikipediaより引用)

まさにその伝説通りのサイズのものが遠くに見えている。あまりのサイズ感に圧倒される。もはやCGか何かにしか見えない。一体なにがあれば東京の真ん中にあんなものが出現するんだ。

僕が、世界樹に圧倒されていると、一瞬空が暗くなった。上空を何かが横切って、その影で暗くなったように感じたようだ。なんだ?鳥でも飛んでいるのか?空を見上げると黒い影がちょうど上空を旋回しているところだった。かなり高いところを飛んでいるようだが、それでも大きく見える。あんな鳥は見たことない。翼は大きく長く蝙蝠のようで、トカゲのようなしっぽが見える。

「まさか、ドラゴン?」

いやいや、そんなまさか。ゲームじゃあるまし。過去、地球には恐竜が実在したが、ファンタジー作品に登場するようなドラゴンはあくまでフィクションだ。あの巨体をあんな羽で維持できるはずがない。

だが黒いそれはだんだんとこちらに近づいてきているように見える。まるで猛禽類が獲物を捕食するときのような動きで。

僕はとっさに近くのマンションのエントランスに駆け込んだ。直後、ズシンと衝撃。振り向くと、そこには映画の中で見たようなドラゴンがいた。もはや現実とは思えない。やっぱりCGなんじゃないか?

「―――――――――――――――――!」

ドラゴンが空に向かって口を開き、一鳴きした。

轟く咆哮が大気を揺らしてビリビリとした衝撃が肌を包む。脳までし

いやいや、現実だよこれ。絶対CGじゃない。冷汗が噴き出す。

ドラゴンはきょろきょろとあたりを見渡しながらその場であまり動かない。僕を探しているようだ。

駆け込んだマンションはエントランス入り口がガラス張りになっているタイプで外から見えだ。しかし、オートロックの自動ドアがあり、そこから奥に進めない。

操作盤を触ってみるが、ここは電力供給がされていないみたいで動かない。隠れたつもりが袋の鼠だった。

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