第14話 終わりの始まり

 そこは一言で言うなら地獄絵図。沢山の人だった肉が散乱する場所。


「んだよ、ここ」


 勇者キースは1人佇んでいた。

 

 アリスたちがパーティーを抜けて、代わりにマリンが加わった。そしてそのマリンの紹介でさらに新しい仲間を迎えた。全員割と優秀だった。レベルこそ自分より低いものの中々やると感心した。全員女ならなお良かったが。


 しかし、問題が出来た。マリンがいつまで経っても性交をさしてくれない。普段から他の仲間と一緒におり、2人っきりなる場を設けてようとしても避けられる。それに苛立ちを感じ、適当な商売女を買おうと風俗街へ向かった道中に財布を盗まれた。


 キースはその盗人を追いかけて、汚い民家に忍びこんだが、そこで見つけた少女が可愛いかった。男とガキ共は殺して、女は犯して捨てようと考えていたその時に現れたのだ。テレシアが。魔王の中でも最も異端な王が。


 腐っても勇者だったキースはすぐさまその実力差を悟った。だから逃げた。


「そう、貴様は逃げたのだ。 勇者であるのにも関わらずな」


「ッ! 誰だ!?」


 突然の声に驚きながら背後を振り返る。


 そこにいたのは自分と同じくらいの背丈をした男がいた。灰色の髪に精悍に整った貌。漆黒の装束に身を包みこちらを睥睨している。


「俺の名はシェアフリート。 お前の使う武器だ」


「ふざけんなッ! 適当なこと言ってんと殺すぞ!!」


「威勢だけはいいな。 それだけだが」


 キースの中でなにかがプチンと切れた。


「じょうとーーー、あ?」


 だが、その言葉は足元の違和感によって中断される。

 足元を見れば先程まで散らかっていた肉片が集まり、キースの足に引っ付いている。まるで生きているのかの様に。


「安心しろ。 お前に代わって俺が勇者としての使命を果たしてやる」


「おい、待て。 これっ、なんだよっ! おいーーー」


 どんどん膨れ上がる肉にキースは埋もれ、そこで意識は消えるのであった。


☆ ☆ ☆


「ご復活心よりお待ちしておりました」


 目を覚ます。懐かしい感覚だ。もう随分と昔のことだ。彼の神に《メタモルフォーゼ》のスキルを与えられて200年近くたったのだ。


「マリン、すまなかった」


「いえ、フリート様が謝られることはありません」


「……そうか」


 ベットから身体を起こす。元々キースの体ではあったのだが、シェアフリートは自身のスキルで体のステータス情報を書き換えたのだ、自分のものへと。そのため勇者キースとしての面影は一欠片も残っていなかった。


「早速だが、鍵を集めたい。 あの勇者は一体も殺せていないだろうからな」


 鍵、それは魔王を指す。それを正しく分かっているのは2人だけだ。


「かしこまりました。 しかしまだ、転生したばかりです。 もう少しお休みください」


 優しく。しかし絶対に譲る気は無いのか固い決意を感じる目で言う。


「……分かった。 馴染むまでは横になっていりことにする」


 こうして舞台は整った。

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勇者パーティーを追放されたけど勇者以外の仲間たちは僕に着いてくるそうです。 篁灯 @kennta2001

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