手紙
静かな廊下に俺とリラしか居なく、深夜の城は不気味なほどに無音で、自分の足音が廊下全体に響き渡る感覚は言い難い怖さと気持ち悪さを感じさせる。
リラに話しかけるのも悪くはないが、何を話題にするのもわからないし、未だ怒ってる気配するし....
お互い無言のまま歩き続け、城の外ににある庭に出った、そしてその奥にある温室に辿り着く。
....聖騎士としての俺が
「王女殿下からはここのほうがいいでしょう、っと伺いました」
「っ....!!そうか、テレサ殿下にお礼を伝えてくれ」
「かしこまりました、....まだ後ほどお迎えに来ますので、では」
リラは言い終えだあと、この場を去った
鍵を使って温室の扉を開けば、ひんやりした寒気が足から伝わってくる。前にに視線を向けば、物言わぬ彼女がそこにいた。
活発で珍しい物を見つかったら直ぐに突っ込んでいき、小走りで見せてくる彼女は魔法の氷に閉され二度と動くことはない。
いつも丁寧に手入れをしていたサラサラな髪も、今は月明かりに照らされでもなお枯れた小麦のように見える。
海の青を持つ瞳は瞑ったままの目蓋によって見ることはできない、コロコロっと表情が変わる顔も今やそれらを失い、ロウのように血の気を失い、人形に似た綺麗な無表情。
これが
氷は触ると防衛術式が直ぐに発動し俺を左の草むらに弾き飛ばす。
....賢者の得意な設置形魔術だ、ならばきっと!
俺は直ぐに両手と足で全力踏み留める。
「....ギリギリセーフか」
後ろに振り返るとそこに大きな魔法陣が描かれている。そのまま受ければ死ななくとも大怪我は免じれないし、音によって人が来るか、もしくは次の罠に繋がる品物でしょう....
俺は立ち上がり、そして見えた。
恐らくは弾き飛ばされた時に落ちたであろうミサの手紙を。
俺はそれを拾い上げる....
そしてついに勇気を出し封を開いた....
この手紙を読んでるのなら、多分わたしはもう死んでるのかな....まぁ最初からわかってるけどやっぱりちょっと寂しいな。うん....何から話そうかな〜、最初から言うか!
役目は選ばれた時に教えられたわ、大人達が謝りながら頼んで来てね、あの時はアルくんとお父さんやお母さんそれに村のみんなの為なら!って感じで頑張ってたけど。アルくんに会えないし、術の練習は大変だし、段々と辛くなった。それからはテレサちゃんとチハヤちゃんと出会って、役目の大切を教えられた。
....ううん、違う、多分あの子達はわたしに役目を放棄して生を選ばせようとしたでしょうね。一緒に町を回り服を選び、もしくはデサートを楽しめ、普通の女の子の楽しさをわたしに伝えたかったかもね。そういえばわたしとチハヤちゃんがテレサを引き回し護衛の人に酷く怒られたこともあったな~
だけどそんなある日、魔物の侵攻が始めた。いつも回ってた町が落ちた報告が来た。もちろん騎士団の対応も早く、直ぐに町を取り戻すことが出来た、わたしはテレサちゃんに止められたけど、彼女がわたしに逆らえないことを利用し、わたしの邪魔をしないように命令した。
そしてわたしは見てしまった、街道がぐちゃぐちゃにされ、よく行く店の棚や椅子が倒され、もしくは店自体が何かに押し潰され、焼かれ――そして町全体広がる赤の斑点を....
ははぁ....テレサちゃんはそれをわたしに見せたくなかっただろう、だってわたしが今のように決心したんだから。わたしはそんな彼女を権力で推し抜けたけど、それでも彼女はわたしを友達と言ってくれた。
それからはお互い忙しいこともうあって中々会えなくなった、だからわたしはそれを良いようにしてテレサちゃんから逃げた、合わせる顔が無いからね....だからアルくんが仲直りのこと手伝ってくれたことは本当に嬉しかったよ!
それからは色々あってまだ死ぬことが怖くなった、ううん今も怖いよ..............よ............た.....ア...
下の部分に水に染めこまれた部分とがペンに塗り替えられた部分があってよく読み取れない。
それに何も言えず、俺はただ次のページに逃げる。
アイを語るもの ゆいしき @yuisiki1207
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