第35話 将来の事…イーソンの気持ち。
学校に行く為、クルーズに馬車で学校の門付近迄送って貰った。
幾ら公爵家の人間でも普段から自分で辻馬車を捕まえたり、時間が有れば自転車で通っている。
なんつうか…やっぱ中には「貴族」の坊ちゃん嬢ちゃんは立派な馬車で送り迎えをして貰っては居るみたいだけど。
俺は、どうもそう言うのは苦手なんだよ。だからなるべく自分の足を使いたかった。
その方が帰りに寄り道しやすいのも有るしぃ。
そうそう、其れと自転車は、何故か普通に生前俺が使っていた物と良く似ているっつか…。俺の自転車そのまんまの型なんだが?
ぶっちゃけ、未だにここの時代設定が良く分からないのよ。
中世っぽいかと思いきゃ普通に電気は有るし…服装だって…
かと、思えば…パーティーではやはり正装なドレスだったりもする。
かと思いきや思いきや?自転車は
「まっ…いっか…だってあの姉貴が考えた世界だもん…きっとなぁんも考えてねぇよ」
「…エース様?何か仰いましたか?」
「へっ?何も?ああっ今日から又授業が始まるなぁって言ってた」
「はははっ左様でございましたか」
(めっちゃ地獄耳じゃんっ馬車を運転しながら良く聞こえたなっやっぱ怖ぇえぇ)
俺を、門付近まで下ろしては、ガラガラと馬車を走り出して屋敷に戻って行った。
「あっ…今日チャリンコで来たら良かった。何だか寄り道したくなっちまった」
今日、久々に母さんの店に寄って行こうかとも思っていたしなぁ。
「やあっおはようっエースちゃんっ」
(エースちゃんって…)
「よおっなんだよっ朝からご機嫌さんかよ」
朝から爽やかな笑顔全開で、俺の事を「ちゃん」付けするイーソン。
「そう言や、昨日カリム殿がいらっしたぞ?相変わらずのスタイリッシュな兄様だな」
「ああっ聞いたよってかっお前ぇ…兄さんにベラベラと話ししたみたいじゃ無いか」
「うん?だってさ?イルカに弄ばれたのは…嘘?本当の事だよなぁ?」
「バカッあれは弄ばれたてたんじゃ無くっ俺は動物に好かれてんの!」
「へー…ソウナンデスネ」
「コイツッッ」今にも鼻をほじりながら人をバカにしそうな態度のイーソンにムカついた。
「ああ…其れと…昨日ベル嬢の態度変だった?」
「態度?どうして?」
「いや…お前が何も感じ無かったんなら良い」
「…なんだよ?気になるじゃん?カリム殿が何か言っていたのか?」
あれ?コイツ…何も気にして無いのか?其れとも気付かなかったのか?
だったら余計な事を話さない方が良いかも。
「ううん。いや?旅行疲れが出たんじゃ無いかと思ってね」
「…ふーん。多少は疲れてはいたみたいだったけど…取り入って「変」では無かったかな」
「そっか?なら良いやごめんな朝から変な事言って」
並んで歩いているイーソンの顔をチラッと横目で見ると、彼は何かを知っている様な顔をしていた。
(なんだか、やはりイーソンて掴みどころが無いわ)
「おはようございますっイーソン様にエース様」
俺達の後ろから、パタパタと小走りで駆け寄って来る。シーア嬢朝からとても元気の有る挨拶。
『やあっおはようシーア嬢』思わずイーソンとハモったわ。
「ふふふ。朝から仲が宜しいのですね?あっ旅行ではありがとうございました」
俺達のハモリに「クス」と一笑しては、少し照れながらに旅行でのお礼の言葉を述べる。
「こちらこそっ楽しかったな?又皆で何処かに行こう。な?エース」
「ああっ俺も楽しかったよ。是非行こう」
「はいっきっと!」
「シーアッおはよう」
その時、彼女を呼ぶ友人だろうかシーア嬢も「其れじゃお先に行きますね」と友人の元に走り寄って行った。
俺の勝手なイメージつか、姉貴の小説にも書いて有ったけど、本来令嬢ってシーア嬢のイメージなんだよな。
ベル嬢みたいに、ツンデレは無かった。中には有るんだろが、少なくとも俺の中には無かった。
生前、俺の周りの女子も普段はツンデレって奴居なかったもん。
其れは俺が知らないだけかっ!そう考えると何だか急にやるせ無さと切ない気持ちで一杯になってしまった。チクショー!
「なんだよ!何、唇噛み締めて泣きそうな顔してんだ?」
「るせぇ!モテる奴に俺の気持ちが分かってたまるもんかっ」
なんだよ其れっと笑っているコイツだが、やはりモテるんだよなぁ。羨ましい限りだ。
教室に着き、朝のHRで「将来」の話しが出た。
そろそろ本格的に自分の将来を決める時が来たんだ。
(自分の将来…うーん…どうすっかなぁ)
ぶっちゃけ、本当に分からないっだって…生前の時でさえ、ただ漠然に大学に通っていたし。
(あの時の俺って何を目指していたんだっけ?)
大学に通っていても「これっ」って言う物が無かった様な気がする。
ただ…卒業して「公務員」かパソコンが好きだったから「IT」関係の仕事に付けたらなぁって感じだった様な気がする。
もしくは、今流行りの「動画配信者」とか?なんて考えていた事も有ったっけか?
今、思えばどれも懐かしい思い出だよな。
一人小さな声で「クク…いやぁ懐かしいわ」と思い出し笑いをしていたら、隣りのイーソンが俺の事を不気味そうな顔で見ていた事に気付いた。
「……なんだよぅ」咄嗟に照れ隠しもあり誤魔化したが、イーソンの本気で心配する言葉がより一層恥ずかしさを覚える。
「…いや…大丈夫かなっと思って」
「……なんだよぅ。大丈夫だよぅ」
大丈夫な訳無いっ正直無理が有る。
「其れではっ来月末に自分の将来の事をレポートに纏めて提出して下さいね」
先生の言葉と共に一限目の授業が始まった。
(来月末か…まだ一ヶ月は有るか…でもなあ。早いよ)
そう簡単に自分の将来を決めれたら何も悩まないって。
一限目が終わり、次の授業までの休み時間にイーソンに聞いてみた。
「イーソン…お前さ?将来どうすんの?」
イーソンは、教科書を持つ手をピクッと止め、俺に笑顔で答えた。
「…んー…そうだな?クラーク家の後継として立派な公爵家の人間になる事かな?」
イーソンは笑顔で答えてくれたけど…目が笑って無かった。
俺はイーソンが一体どんな気持ちで「クラーク」家の養子なったかなんて考えてもみなかったんだ。
♦︎♢♦︎♢♦︎後書き♢♦︎♢♦︎♢
ここ迄お付き合い頂き本当にありがとうございますっ(*≧∀≦*)ノ
悪役令嬢の話しがあるなら…悪役令息の弟の話しがあってもって…え?興味が無い?それは大変失礼いたしました。 もふ太。 @mofuta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。悪役令嬢の話しがあるなら…悪役令息の弟の話しがあってもって…え?興味が無い?それは大変失礼いたしました。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます