にっき
反比゜例
薄暗い
かなり久しぶりに文章を書く。
勝手など忘れてしまったが、日記として適当に書こうと思う。
最近はすべてが薄暗く感じる。
視覚的にではなく、感覚的に。
何をするにしても頭の奥のもやもやが取れない。離れない。
夜眠れない。
朝起きられない。
講義に遅刻する。
自己嫌悪に陥る。
全部自業自得なのに自分のことを嫌うのはおかしいことだとはわかっているが、自己嫌悪とそれに伴う自己愛の低下を感じてしまう。
これはうつ病なのだろうか? と思ってうつ病の症例を調べてみたけれど、そこまでひどいものではなかったから、
きっと自分はうつなどではなく、ただの甘ったれたクソガキなのだろう、と思う。
最近は立ち眩みもひどい。
研究室の仕事で、座った状態から立ち上がるたびに心臓の動きが激しくなり、若干の息切れを伴う。
低血圧なのだろうか。
やっぱりちゃんと毎日3食食べなければならないのだろうか……でも、朝は起きられないし、そんなにいっぱい食べられない。
彼女からの連絡も、ちょっと遅い。
あちらが忙しいのはわかっているし、連絡はまめでないほうなのだけれど、それでもいつになく遅くて、とても不安になる。
自分は好かれているだろうか。
愛されているだろうか。
まだ気は引けているだろうか。
俺はまだ捨てられていないだろうか。
彼女の誠実さを知っているにもかかわらずそんなことを考えてしまう自分にまた嫌気がさす。
涙は出ない。
だから自分はきっとうつ病ではない。
甘ったれた性根が泣いているだけなのだ。
きっと。
人と話すときに笑顔になれる。
だから自分はきっとうつ病ではない。
もっと苦しんでいる方々がうつ病なのであって、
自分のような自己愛に満ち溢れた何かからくる苦しみはうつのそれではないはずだから、多分、自分はうつ病じゃない。
病院にかかったほうがいいのは理解しているが、踏み出せないでいる。
心の中ではうつ病であってほしいと考えているのはなぜなのだろう?
心配してほしいのだろうか。
だとしたら救いようのない甘ちゃんだ。
死んだほうがいい。
死んだほうがいい、という単語が最近頭の中で渦巻くようになった。
本当に死にたいわけじゃないのに、自己嫌悪に陥るたびに死んだほうがいい、死んだほうがいいと、頭の中でぐるぐると、そのフレーズが繰り返し流れる。
精神衛生上非常によろしくない。
だからこれはうつ病であってほしい。
ADHDでもあってほしい。
自分の欠陥は、すべて病気のせいであってほしい。
自分の無能さが露呈しないでほしい。
すべて病気のせいであってほしい。
すべて。
助けてほしい。
今日も夜が更けるまで青白いライトを浴び、薄明の刻に、睡眠の義務感に駆られて布団へ落ちてゆく。
にっき 反比゜例 @Lindworm
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