だめ……っ♡
アレセイア
第1話
唇が触れ合った瞬間、彼女の小さな震えが伝わってきた。
少しだけ顔を離すと、少女は恥じらいの表情で見上げてくる。
ベッドの上で、髪が乱れ散っていた。皺の寄ったシーツの上に横たわる彼女は口元を抑えながら視線を逸らす。そのブラウスの胸元ははだけ、白い素肌が見え隠れしている。
その彼女を見やりながらそっと顔を近づけると、彼女は微かに身を強張らせた。
「だめ……だめ、だよ」
掠れた声と共に、彼女のほっそりとした手が胸板に置かれる。
そのまま、彼女は拒むように瞳を伏せさせる。だけどその手に触れると、呆気なく拒んでいた手はベッドの上に落ちていた。そのまま、頬に手を添えてそっとこちらを向かせる。
彼女の瞳は熱を帯びて潤んでいた。切なげに吐息はこぼれ、頬は朱に染まる。
揺れた桜色の唇が物欲しげに開いた瞬間、再び唇は重なり合った。
果肉のように弾力がある唇。こすれあうだけで甘美な刺激が走る。ん、と微かに少女は上擦った声と共に、その口づけに身を委ねていく。
口づけを何度も繰り返すたびに、徐々に彼女の身体から力が抜けていく。それと同時にほのかに彼女の身体が熱く火照ってくるのが分かる。
息継ぎの瞬間、熱がこぼれるように甘い吐息が少女からこぼれだす。そこで少しだけ身を引くと、彼女は引き寄せられるように唇を突き出し――それに気づいて、彼女は慌てて恥ずかしそうに視線を逸らした。
その仕草がおかしくて笑いをかみ殺すと、少女は拗ねたように睨みつけてくる。
「……もうっ」
ごめん、と謝る代わりにもう一度、唇にキスする。それを受け止める彼女の身体からは震えが伝わってこない。その表情も蕩け、唇が生み出す甘美な刺激に酔いしれている。
その幼げな顔立ちに似つかわしくない色気を漂わせ、彼女はねだるように小さく囁く。
「やめたら、だめ……っ♡」
その言葉に応えるように、再び二人の影は重なっていく。
その重なりは徐々に深く、熱く交わり続けていく――この夜が終わるまでずっと。
だめ……っ♡ アレセイア @Aletheia5616
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