第17話 イーサーは罠に嵌められ、ママのダンジョンの中に御隠れになる。

 僕は目覚めた。また転生かよ?

 口の中にナニかが詰められている。真っ暗闇の中で、全裸のまま後ろ手に縛られている。シフタークーン女王様から苛められてみたい。でも未体験だ。

 マルヤム様の匂いがしない。他の人の匂いだ。確信できないけど、覚えのある匂いだ。


 ナニか好い感触がする。とても柔らかい。マルヤム様とは別の感触だ。僕は他の女の人に逆レイプされてるのか?

 僕はマルヤム様に貞節を誓ったんだ。粗相なんて絶対にしないぞ!

 そういえば、他の女の人とナニしたら、僕は死んじゃうんだ。こんな殺され方って、どうなんだろ?

 僕死ぬんだ。ぬるぬるじめじめした黄泉比良坂を下っていく。

 聞き覚えのある呻き声だ。そうだビビアンに違いない。彼女が僕のことを好きな訳が無い。大切なものを捨ててまで、僕を殺したいんだ。


 誰かが駆け付ける足音がする。マルヤム様の匂いが微かに漂う。僕を冥界から呼び戻してくれるのか?


「エイ、チャルブ、アンラ、ローシュンコン!」

 マルヤム様の詠唱が聞こえる。


 僕は眩く光り輝いた!

 地下通路を真昼の様に照らした。僕のお腹の上にビビアンが跨っている。あんな顔は今まで見たこと無い。禍々しく狂おしい。前世で言う所のヤンデレだ。萎える筈なのに萌えてしまった。僕の体に激痛が走った。これが死の痛みか?

 いや違う。久々にケーラリーグが発動したんだ!


 駆け付けたマルヤム様はビビアンを突き飛ばした。

 そして、マルヤム様は僕の上に腰を沈めた。


「愛しいチャルブよ。私の中に還ってきなさい」

「ま、ママ、大好きなシフタークーン様、蜜よりも甘い桃!」


 シフタークーン様の中で意識が遠のいていく。まったりと甘い異世界生活は終わった。

 もう思い残すこと無いな。

 幸せだった。

 誰かを恨む気持ちも湧かない。


 再び暗い闇の底に沈んだ。


 暖かくて柔らかくて心地好い。眠い。また寝よう。


 何だろう?

 懐かしい声が聞こえる。

 大好きな声が聞こえる。

「愛しいチャルブちゃん。お孵りなさい。ゆっくりお休みなさい♡」



――完――


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

御妃様の秘め事――神が許し給う明るい「背徳」異世界 Peeping Dom @peeping_dom

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ