【急】ママと一緒にダンジョンでデートするのは間違ってるだろうか?🍌

第16話 男の子って穴の中が好きなのね♡

 僕はシフタークーン様の甘い尻の下、どんなに頑張っても抜け出すことは出来ない。抜け出す必要もない。生前もダメ人間だった記憶が有る。今はもっとダメダメに堕ちていく。


 初めて出会って童貞を捧げてから、半月ぐらいが過ぎた。今日はマルヤム様とデートの約束だ。月の塔のダンジョン探検である。やっとRPGらしい展開に成って来た。


「イーサーちゃん、しましょ♡」

「この世界にもって有るんですか?」

「ないわよ。お前の記憶を覗いた時、『デートしたい、デートしたい』って泣いてたの見て、可哀相で可哀相でキュンときちゃったわ♡」

 見られたくない所まで見られてしまった様だ。お尻の穴の皺の数まで数えられるよりも、恥ずかしいかも?

「僕は裸のままデートするんですか?」

「裸で好いじゃない。寒かったら、スカートの中にお入りなさい♡」


 秘密の隠し扉を潜った。僕とマルヤム様の二人きりでは無い。当然、刺々しい目つきのビビアンさんも付いてくる。ビビアンさんがランタンを持って先導する。僕はマルヤム様のドレスの裾を摘まんで、お尻の後にくっ付いて行く。本当は逆だけど、全裸の僕には摘ままれるモノが無い。マルヤム様なら、涼しい顔してアレを摘まむに違いない。されたくないけど、されてみたい♡

 そういえば、首輪もされてたんだっけ。頸に違和感ないので忘れてた。肩さげの鞄も持った。メモ用紙を入るだけ入れた。メモ用紙と言っても、本物の紙は高価である。イフリンジャでは需要も少ない。細々と舶来するだけだ。カツブシの様に薄く削った木の皮がメモ用紙である。これに、木炭だかクレヨンだかチョークだか判らん棒で筆記する。これで地下ダンジョンをマッピングするのだ。


 初めて月の塔に上った時は、本当に疲れた。半日くらい掛かったような気分だった。降りる時は非常に楽だ。サクサクと階段を下って、地下通路に辿り着いた。


「ママ、この通路って何処まで広がってるんですか?」

「私にも分からないわ」

「町中の神殿までの道筋以外は判ってないんですか?」

「それ、ビビアンしか知らないわ」

 マルヤム様らしい答えだ。しかし、なんだか嫌な予感がする。マッピングは欠かせない。マルヤム様から逸れない様にしつつ、僕はマッピングに集中した。


「イーサー、どうしたの?」

「いえ、別にナニも」

「ナニかおかしいわよ。いつも私のことを舐め廻すように眺めているじゃない♡」

 しまった!

 無意識でしてたことがバレバレであった。言われてみれば、確かにそうだ。


「こうやって、地下通路の地図を描いてるんですよ」

「ビビアンが案内するから好いじゃない。そんなことして楽しいの?」

「RPGみたいで楽しいですよ」

「ふ~ん。男の子って穴の中が好きなのね♡」

「地下ダンジョンは男の夢です」

 ナニか微妙に話が噛み合っていない。


 ビビアンの進むまま、右に折れたり、左に曲がったりした。ぐるぐると堂々巡りさせられてる気がしないでもない。あの小神殿に向かってるのかどうか甚だ怪しい。

 マルヤム様は僕と一緒なら何でも好いみたいだ。まぁ僕もそうだけど。僕とマルヤム様が二人だけの世界を創り出す。すると、ビビアンさんは取り残される。それが居た堪れないんだろうな?

 だから、嫉妬と憎悪を僕にぶつけるんだろう。どうにか、宥めて仲良くなれないかな。今宵はマルヤム様に相談しよう。自由奔放で無頓着な様だけど、意外と周りのことに目を配ってるんだよな。


 そんなことを考えていると、突然真っ暗になった。スカートの中よりも真っ暗だ。

「イーサー、イーサー、大丈夫?」

 僕も声を挙げようとした瞬間、首筋に痛みが走った。そのまま意識まで暗闇に消えて行った。

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