【幕間】蘭先輩は、颯太に〇〇がしたい。① 

 「幼なじみ」のほのかに続いて蘭が参加します(だから締め切り、すぎてるんだってば!)。


 シチュはいつもと一緒ですが、幕間の為いつもより更に摩訶不思議な感じになっているかもしれません。


 この「蘭先輩」はマ猫が初めて書いた長編のラブコメです。「幼なじみはオシオキがしたい。」のように性的レイティングをかけてますので、えっちいのが苦手な方はごめんなさい!|д゚)


 ただ、「幼なじみ」とは少し違うチャレンジ作品という事で(こちらも時々黒マ猫的なえっちいが限界突破します)、基本的にはわちゃわちゃです。少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!ヾ(≧▽≦)ノ←絶叫



 お昼休み。


 いつものように、お手製の弁当二人分とお茶が入った大きめのマグボトルを抱えた颯太は、目をパチクリ、とさせながらベンチに腰を掛けた。


「あれ? 珍しいなあ、那佳さんと笹の葉さんが来てない。……まあ、そんなこともあるよね」


 初めの頃はちかの願いから颯太の平穏をそっと見守る役目があった那佳と笹の葉が、最近はラノベ空間に巻きこまれがちな颯太の姿を楽しみながら、でている事を颯太は知らない。


 むしろ最近は二人が自ら望んで颯太のラノベ展開に拍車をかけているのだが、颯太からすれば『仲良くしてもらっている』という感覚である。


 ぽこっ♪


 颯太のスマホから、可愛らしい音が響いた。


「あ、チャット来た……先輩だ。えとえと……?」



『遅れてすまん。今、演劇部を出るところだ。しばし時間をくれ』



皇城すめらぎ先輩のとこ! 嫌な予感しかしない。また余計な入れ知恵をされてくるんじゃないかな……」


 颯太の脳裏に浮かぶ、数々の思い出。





 知り合って数分で、颯太を膝枕に誘う蘭。


 お礼と言って、中庭でスクール水着に着替えようとする蘭。


 ポッキーゲームと称して、何も咥えずに唇を突き出す蘭。




 

「ううう……蘭先輩、皇城先輩に変なことを吹き込まれてないといいけど。下手するとまた中庭がラノベ空間になっちゃうよ……」


 手遅れである。


 と、そこに。


「え?! 上?!」


 頭上の風切り音と気配に驚いた颯太は、慌てて立ち上がった。


 



 ズザッ!!

 ごろごろ。

 スタッ!





 上から降ってきた蘭が、颯太の目の前で回転して立ち上がる。


「えっ?!」

「すまんな、待たせたな。颯太」

「ええー! どこから来たんですか今!」

「3階の窓から颯太が見えてな。もどかしくて飛んだのだ」

「危ないですよ!」


※よいこのみなさまは決してマネしないで下さいね!


「む? ちかより高所から降り立つのも、やぶさかではないがな」

「張り合わないで下さいよ!」


 スカートの木の葉を払いながらニンマリと笑う蘭に駆け寄った颯太が文句を言いながら、蘭の背中の木の葉を同じように払う。


「全くもう! いくら身体能力が並外れてるからって……先輩だって無茶をしたら怪我するんですよ?! 猫じゃあるまいし!」

にゃんだっ!」

「猫っぽく返されたっ?!」



「うむ、うむ! 颯太の弁当は今日も美味い!」

「よかった! ありがとうございます!」


 嬉しげに颯太手作りのお弁当を頬張る蘭の傍で、大きめのマグボトルに入れた緑茶を差し出す颯太に、片眉を上げる蘭は悪戯っぽく笑った。


「私の事はいいから食わぬか。……だが、何やらこそばゆいな。颯太がまるで、甲斐甲斐しく私に尽くしてくれる嫁のようだ」

「お嫁さんって、立場が逆じゃないですか?!」

「ならば私が嫁だな、颯太の嫁の蘭。ふむ、こそばゆいな」

「はひぇ?!」


 弁当を小脇に置き、お茶をごくごくと飲んでは蘭の顔を盗み見て、またお茶を飲む颯太の顔は耳まで真っ赤である。そんな颯太を見て弁当をひざの上に置き、蘭は不思議そうに颯太の顔を覗き込んだ。

 

「熱でもあるのか? 顔が赤いな」

「蘭先輩がお嫁さんの話とかするからっ!」

「そうか。それはすまなんだな」


 蘭は颯太の頭をサラサラと撫で、再びニコニコと弁当を食べ始める。颯太はそれを見て、ため息交じりに弁当箱に手を伸ばした。

 

(ドキドキするような事言うから慌てちゃったよ。でも、いっつもこんな感じだからなあ。……僕以外にもこんな事言ってたりするのかな……)


 颯太は自分の想像に胸がとし、目を閉じて首を傾げる。


 だが。


 颯太は蘭と初めて出会ってからその近すぎる距離感ゆえに気付いていないが、蘭は思う事を口に出しているだけであり、思ってもいなければ決して言わない。


 綾乃の入れ知恵があるとはいえ蘭が颯太を構いたがるのも自分に興味を持ってもらいたいからであり、そこには駆け引きも何もない。


 そして、今回も。


 本音が迸る蘭のペースに、颯太は見事に巻き込まれる羽目となる。



「ご馳走様だ。美味かった」


 満面の笑みで、蘭が弁当の蓋を閉じる。


「明日のお昼も作ってきますね! そういえば昨日、お爺ちゃんがウチの道場のある山で採れたキノコやタケノコをたくさんくれたんですよ。炊き込みご飯とかは好きですか?」


 颯太の言葉に、蘭が嬉しげに手を打った。


「タケノコにキノコか! 炊き込み、煮物、天ぷら、焼き物、どれも好物だ。これは明日も待ち遠しいな」

「ま、まあ先輩のご実家と同じようにはいかないと思いますが」

「蘭だ。何を言うか。颯太が一生懸命に作る心づくしの料理には胸が熱くなるばかりだ。そして美味い。いつもすまんな……おお、そうだ」


 真正面から頭を深々と下げた蘭が、思い出したように目を見開いた。


「……どうしたんですか?」

「綾乃とな、話していたのだ。想い人と恋仲になった男子が『女子にしてほしい事』というものを目にしたらしい。で、の中で調べ、合わせたものを教えてくれてな」

「はあ」


 付き合っている彼女にしてほしい事。


 同じクラスの男子達がそんな話をしているのを小耳にはさんだ事はあるが、彼女いない歴=年齢の颯太には想像がつかない。


「『貸しを50減らしてあげるから颯太君に試してきて☆』と言われたのだ。美味い弁当を作ってもらっている礼にはならんかもしれんが、颯太が喜ぶなら、試してみるのもやぶさかでない」

「借り、残ってたんですか?! そもそも……あの、えっと……演劇部での、お、お着替えの時に無くなったんじゃ?!」


※8~10話参照、えっちいのが苦手な方は無理かもです……

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蘭先輩、勘弁してください。 マクスウェルの仔猫 @majikaru1124

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