【 タナバタノホタル 】

 黄緑色の光が、一つ、二つ、三つ……。


 少しずつ徐々に増えてくる。


 この暗闇の中で、その光は少しずつ数を増やしていく。


 1年前と同じ。

 あの時と同じ。


 かず姉とふたりで見たこの光景。

 忘れていた、あの時芽生えた思い……。



 気付けば辺り一面、360度見渡す限りの綺麗な発光宇宙に変わっていた。


 暗闇に浮かぶ、黄緑色に点滅した無数の発光体が、ゆらゆらと僕らの周りを完全に包み込む。


「うわぁ~、綺麗ねぇ~。ほたるくん」


 かず姉は、僕の隣で瞳を同じ黄緑色に輝かせ、初めて僕の名前を口にした。


 肩と肩が完全に触れ合う距離。

 1年前とは違う、ふたりの距離。


 7月7日。

 一年に一度だけ。


 このとても短い小さな夏休みだけ、ふたりは出会える。



 一年に一度きりできる、懐かしいふたりだけの思い出。



 僕たちは、この無数に飛び交うあの綺麗な蛍と同じように、



 とても、とても短い



 恋をしたんだと思う……。



 僕の握り締めるこの青い短冊に書かれた願いごとが




 今この瞬間、叶った……。





~タナバタノホタル~



(了)



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タナバタノホタル ~誰にも言えない秘密~ 星野 未来@miraii♪ @Hoshino_Miraii

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