【 かず姉の魔法 】

「雨、止んだみたいね」

「うん……」


 ふたりで夜空を見上げる。

 あの土砂降りの雨が、まるで嘘のよう。


 やっぱり、かず姉は、魔法使いなのかもしれない。


 随分と暗闇にも目が慣れてきた。

 もう一度、かず姉の方を見る。


 僕を探してここまで来たために、服もビショ濡れだった。

 肌に張りつくように濡れたブラウスから、かず姉の水色の少し色っぽい下着が透けて見える。


 いつの間に、こんなにかず姉は、大人になったんだろう……。


「ああ~、ボクちゃん、私のこの胸、じっと見てたでしょ~」


 かず姉は、その豊満な胸を両手で隠し、僕をその綺麗な瞳で見つめ、笑いながら唇を軽くんだ。


「ご、ごめんなさい……」


「うふふっ、まあ、許してあげる。今日だけはね♪」


 そう言って、かず姉は大きく笑った。

 その笑顔が、とてもかわいらしく見えた。


 誰にも言えない僕だけの秘密。



 ――しばらくすると、みんなで一緒に見れなかった『アレ』が、ふわりふわりと姿を現した……。



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