幕間

M・Ⅰエム・ワン、これが何か分かるか?」

 男は私に聞いた。

「うん、わかる」

「何か言ってみろ」

「これは“いでんし”」

「どういうものだ?説明できるか?」

 白衣を着た男は私にずっと質問する。

「“いでんし”はせいぶつのすべてのじょうほう。せいめいがつくられたときから死ぬまでずっとかわらない。じぶんをけいせいする“せっけいず”みたいなもの。それで……」

「上出来だよ!さすがM・Ⅰだ!よし、じゃあ、次に進もう」

 白衣の男は私にそう言った。そしてまた抱きかかえられて、私はどこかに連れていかれる。

「ここに座ってるんだ」

 言われた椅子に座る。

「M・Ⅰ、これは何か分かるか?」

 白衣の男は私にカードを見せた。

「しらない。わからない」

「これは“嬉しい”だ。感情の勉強も必要なんだ。じゃなきゃ……お前は用済みになるんだ。頼むから覚えてくれ……。これは“嬉しい”、これは“悲しい”だ。な?」

 彼はそう言って私に“感情”と言うものを教えようとする。

 でも、私には分からない。

 感情って必要なのかな……

 だって私、“嬉しい”なんて感じたこと一度もないよ……

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