緊急の依頼。
その後も内覧…………、内覧? 契約済んでる物件見るのって内覧なのかな? まぁ内覧で良いか。内覧を続け、色々と聞いた。
流石にお父さんも私達のネームバリューを甘く見てるなんて事は無く、とても広いビルではあるが一階の酒場だけでは回らないだろう事は予想出来た。
「だからまぁ、東京は本店扱いで、順次ほかの県にも支社を増やしていく予定だ」
「そうだよね。東京にだけあったら他県のアタッカーも集まって来ちゃって、他のダンジョンから人が居なくなっちゃうし」
その結果、国内で二度目のブレイクとか起きたら目も当てられない。マスコミも絶対騒ぐし、もし現実になったら原因が浅田家なので叩かれてもその時ばかりは反論出来ない。
「あと登録は審査もあるから、誰でも冒険者になれる訳じゃない」
「審査?」
「ああ、登録された後に事件でも起こされたら困るだろ?」
アタッカーは既に歩く生物兵器くらいの驚異である。それが街中で暴れたらどれだけの被害が出るかなんて考えなくても分かろうものだ。
実際、迷宮事変初期の頃はそう言った事件も多かったらしい。私が病院で寝こけてる時の事だ。
学校や会社で虐められてた人物がダンジョンで力を得て、虐めた相手に復讐するなんて事件はまだ可愛い方で、下手に力を得てるからハリウッド映画ばりのダイナミック銀行強盗とかも起きてる。
その時は周囲にも大きな被害が出てるし、下手人は薄いとは言え魔力を持ってるから銃弾も効果的では無く、事態を収めるのに凄まじい労力が必要だったとネットに書いてあった。
流石に現在では銅竜素材弾頭を使った銃とかもあるので鎮圧は容易だが、事件が起きた時点でアウトである。だって世間は迷宮事変初期の頃を覚えてるから、危険が減ったとしても大袈裟に騒ぐだろう。
「応募は殺到するだろうが、このビルで回せる人数に限定し…………、ん?」
お父さんが説明を続けてると、不意にお父さんの腕輪がピリピリと鳴る。そう、お父さんもついにアイズギアデビューしたのだ。魔力の操作が出来るなら、これ以上便利な通信端末も無い。
ちなみに、私が配信とかで宣伝してる効果でアイズギアの製造元であるDDスクリプトは株価も上がり、世界中に居る覚醒者は全員が例外無くアイズギアを使ってるらしい。
この間ペイッターにロシアの覚醒者さんからダイレクトメールが来たんだよね。こんなにも便利な端末を教えてくれてありがとって。
直接教えた訳じゃ無いんだけど、私の配信を見てるそうなのでなんかそんな感じになった。せっかくなので連絡先も交換した。
ちなみに、五層突破した三組って言うのは日本の話であり、海外は海外で別に何組か五層を突破してる。そのロシアの人も五層を超えた一人である。お祝いに今度日本に行くからよろしくねって言われた。自分で自分を祝うらしい。
「…………は?」
「お父さん、どうしたの?」
端末が鳴ってからしばらく空中を見詰めていたお父さんが、ふと声を出した。困惑がこれでもかってくらい伝わる声だった。
「いや、なんか…………、なに?」
「いや知らないけど」
「おねーちゃん、おとーさん、どーしたのー?」
一人であっちこっち見学していた真緒も戻って来てお父さんを見た。お父さんは相変わらず空中を見ていて、多分そこにアイズギアが画面を表示しているんだろう。そんな場所を見てひたすらに困惑していた。
「……なんか、スキルを使うライオンが発見されたらしい」
「……………………は?」
「らい、おん……?」
なんだって? ライオンがスキルを使う? サンダーレオならだいぶ前から発見されてるけど?
「銅級の五層?」
「いや、外らしい」
「…………は?」
それはダメじゃない?
……いや、良く考えるとそうおかしい事でも無いのかな? ナイトだって守護霊ってスキルを持ってるんだし、DMにアカウントを作らせたらレベルもステータスもちゃんとあった。
何かしらの理由でダンジョンに落ちてスキルを身に付け、どうやってか帰って来たのなら、地上にアニマル覚醒者が居たって不思議じゃない。
ただ、ライオン? ダンジョンから出るには通信端末が必要だし、人の手が介入しないと無理だと思うのだけど、ライオンなんか見付けて地上に連れてこようとする人居るかなぁ……?
今まで情報が無かったのなら誰かが隠してたんだろけど、なんで今更…………?
「…………優子。この依頼、受ける気あるか?」
「依頼?」
「内容は問わないから、ライオンを撃退して欲しいそうだ。報酬も悪くない。銀級ダンジョンに潜れって依頼に比べたら安全でもあるし」
私達家族への依頼は、お父さんを窓口にする事で家族間の合意歳してる。
お父さんと一緒にダンジョンから帰った辺りにはもう決まっていて、私達のペイッタープロフィールにもその旨が書かれてる。ご連絡は専用サイトかお父さんへと。
ちなみにお父さんのダンジョンネームは
つまり、お父さんに今来た依頼もそこからなのだろう。
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