まおちゃんも。
今日はおねーちゃんとおでかけ。
ジョニーズさんと一緒にテレビに出てダンジョンに潜るんだって。
本当はおねーちゃんだけだったのに、真緒も一緒にやる事になった。
それは良いんだけど、おねーちゃんと一緒だから嬉しいんだけど…………。
「あぁ、来たのか」
「あーん? 主役に向かって随分な態度だなー? 滝谷ー?」
「はぁ? 主役は俺たちだぞ? 脇役は脇役らしくしてろよ」
「なんだとー!?」
もやもやする。
なんで、あの失礼な人とおねーちゃんが仲良くなってるの?
やだ。すごいやだ。もやもやする。真緒のおねーちゃんにあんな酷いこと言ったくせに、なんであんなに仲良しなの。すっっっごいもやもやする。
気が付いたら髪の毛がチリチリに凍ってる。危ない危ない。
あの時だっておねーちゃんが自分で怒ったから真緒は我慢したのに、あんな事になるなら真緒が凍らせれば良かった!
ぷんぷん!
「…………おもらしのくせに」
「なんだとぉ!? おまっ、それ放送中に絶対言うんじゃねぇぞ!?」
真緒がボソッと呟くと、おねーちゃんと話してた失礼な人がグリンってこっち向いて顔を真っ赤にしてる。
ふんだっ。真緒にとっては知ったこっちゃないもん。
お前なんかおねーちゃんの前で恥じかけば良いんだ!
ぷんぷん!
「今日はよろしくね、ニクスちゃん」
「あい!」
今日はおねーちゃんと一緒にテレビに出るから、真緒も少しだけ進行? って言うのを聞いた。
おねーちゃんがあの失礼な男の子達をダンジョンで鍛えて、真緒は他の人達を任された。
真緒が一緒に潜るのはジョニーズのお兄さん達で、ハニーなんとかってグループの人達だ。
「では、そろそろ本番行きマース!」
スタッフの人に声をかけられて、真緒達は準備をする。
テレビの方は真緒とおねーちゃん、どっちに育てられた人がどれだけ強くなるかって内容だって聞いたけど、正直、真緒はおねーちゃんに勝てるとは思えない。
だっておねーちゃんはすごいから。真緒の自慢のおねーちゃんなんだ。
「じゃぁお兄さん達は、トリプルの使い方に気を付けてくださいねっ」
「うん、ニクスちゃんもよろしくね。いやぁ、まさか僕達も覚醒者に見て貰えるとは思って無かったよ。実に光栄だ」
「ホントだよね。しかもこの試供品も、フラムちゃんの伝手でしょ? 半端ないわァ」
今日は宣伝を兼ねて、おねーちゃんも真緒もお世話になってる研究所からトリプルを人数分借りて来てる。
突然「新商品、トリプル!」って売り出すより、真緒達がテレビで使ってから売る方が良いんだって。
詳しい事は分からないけど、トリプルが良く売れると、研究所も助かるし、真緒もおねーちゃんもお金が稼げるんだって。
「本当は、お兄さん達もおねーちゃんが見た方がいいんだけど……」
「いやいや、そんな事ないよ。本来なら滝谷達だけで進むはずだったのに俺達も参加出来たんだから、それだけでも有難い話さ」
「僕達からすると、フラムちゃんもニクスちゃんも、どっちも『超凄い!』って点では差なんて無いしね」
「そうそう。と言うか、DMライブ見てたけどさ、ニクスちゃんだって自力でランク4の魔法使える唯一のアタッカーじゃないか。自信もって良いと思うけどな」
「でも、おねーちゃんの方が凄いもん……」
お兄さん達が慰めてくれるけど、真緒は納得出来なかった。
真緒のおねーちゃんはとても凄い。凄すぎてどのくらい凄いのかちゃんと説明出来ないくらい凄い。
真緒が魔法を使えたのだって、おねーちゃんが傍に居てくれたからだ。
絶対に守ってくれる。何が起きても助けてくれる。そんなおねーちゃんが近くに居たから、真緒はなんの心配もなく魔法に集中出来た。
そもそも、おねーちゃんは魔法なんて無くても強い。物凄く強い。
真緒もおかーさんも、スキルを使い続ければ魔力が無くなっちゃうけど、おねーちゃんは『蒼』の効果で無限に使える。それだけでも強過ぎて比べ物にならないと思う。
ダンジョンでは魔力がとても重要だ。
魔力をどれだけ持ってるかで力関係が変わる世界なんだから当たり前なんだけど、そんな世界で『魔力を奪える』力はおねーちゃんだけが持つ、あど、あどば、アドバンチーズ?
…………あ、チーズ食べたい。ダンジョンのお昼はカロリーメイクのチーズ味にしよっと。
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