お許しが出た。



 政府との交渉を頑張った結果、ランク4スクロール乱発のお許しが出ました。


 しかし、魔導具経由だと魔法にスキルを乗せられるのに、とても残念ながら使い捨てスクロールだとスキルの出力に耐えられなくてスクロールが壊れる事が判明した。


 なので蒼炎×ランク4魔法のコンボで魔力回収しながら当日中にでもヒートゲージを下げきる作戦は没となった。


 しかし、一日にランク4スクロールを二つまで使って良いと政府からお許しが出た。私とお母さんの分だね。ニクスは自前で使えるから。くぅ、不甲斐ないお姉ちゃんでごめんねニクス……!


 そんな訳で、私達は経費でスクロールを撃てるようになった。DDとして返ってくる事は無いけど、消費したDDを日本円で補填してくれると言う。


 けど、それも一日二つで一週間分だけ。なぜなら、連発する予定なら魔導具を作った方が良いから。そして魔導具制作の依頼を鍛冶師にお願いして、完成するまではスクロールで賄って良いよって事。もちろん魔導具代も政府からでる。


 その代わり、地上に帰ったらその魔導具は政府に引き渡す事になる。欲しければ自腹でねって事だ。この辺の交渉は少しお互いバチバチしてた。


 作る魔導具は二種類。私がコルドゥラを使ってもニクスと同じ威力には成らないので、別の魔法を依頼する。間に合わせで購入するスクロールも同じ魔法。

 

 コルドゥラは、『とにかく広域に被害を出す』ってコンセプトの魔法で、ニクスの白雪が相性良過ぎだったからあの規模とあの威力なのだ。私がスクロールでコルドゥラを使ったって、めちゃくちゃヤバい嵐が生まれるだけ。


 そも、環境を変えて被害を出してやろうってタイプの魔法であって、アレ実は攻撃用じゃないからね。超大規模嫌がらせ魔法みたいな感じ。


 それで、私が依頼したりスクロール買ったりした魔法は、自分でも練習したランク4魔法『グリアジム』って奴だ。効果は広域超重力で押し潰す感じ。


 コルドゥラよりは攻撃範囲狭いけど、それでもちゃんと攻撃用の範囲攻撃魔法だ。威力もスキル無しでちゃんと強い。


 だけどお母さんはコルドゥラ買ってた。そっか、紫電だからお母さんもコルドゥラと相性良いのか。ビッショビショにしてやったら紫電撃ってビリビリだもんね。スクロールじゃなくて自前か魔導具で発動出来れば超強そう。降ってくる雨全部に紫電が混じってるとかヤバすぎるでしょ。


 良いなぁ、私も大規模破壊したいなぁ……。いや考えてる事が狂人のそれだな?


 まぁ良いや。グリアジムはコルドゥラより消費が少ないので、魔力Sの私なら二発は撃てるし、魔導具が完成したらスキル入りで暴れてやる。


 あはははは! 楽しみだなぁ!




 と、言うことが一週間前にありまして。




 現在、フル装備の私達は六層に居ます。杖型? の魔導具が二本完成したので、今から六層を蹂躙します。


 信じられる? 私達、まだ六層にほぼ足を踏み入れてないんだよ?


 ニクスも魔導具が有るなら小一時間かけて詠唱する必要は無いんだけど、練習になるからって自前で発動して、お母さんもコルドゥラと言う名のサンダーボルトフィーバーを発動して、私もグリアジムを使って六層のゴリラとカブトムシをプチプチ虐めた。


 あ、ちなみに私達レベル11に上がったよ。五層が次のレベルキャップだったらしい。


 ステータスこんな感じ。


 蒼乃フラム・レベル11

 膂力A

 魔力S

 敏捷A

 技量S

 耐久A


 白乃ニクス・レベル11

 膂力B

 魔力A

 敏捷B

 技量S

 耐久B


 藤乃プティル・レベル11

 膂力B

 魔力A

 敏捷A

 技量A

 耐久A


 ふむ。これだけ見ると、アレだな。やっぱ私達は女の子なんだって思うよね。これだけ修羅場潜って武技振り回して、膂力がSに届かないのか…………。


 お母さんとニクスもB止まりだし。


 まぁ評価上がってなくても、レベル毎の評価だから強くはなってるんだけどね。


「じゃぁニクスからいくね!」


 そう言って階段がある箱の中からコルドゥラを発動するニクス。いやマジで凄い。これ東京で使えばもうダンジョンとかブレイクとか関係なく滅ぼせるもんね。マジで私達って核弾頭だな。


 ああ、そっか。政府がこの魔導具を欲しがるのは、アタッカーや外国に対する抑止力って意味も有るのかな。


 日本は核が保有出来ないから、私達って言う人間核弾頭から着想を得て抑止力を欲したのかも。


 仮に日本が核の被害にあったなら、日本は適当な人員にこの魔導具を持たせて敵国へスクランブルさせれば良い。普通に撃墜されるだろうけど、撃墜前に発動しちゃえばこっちの物だ。


 仮に、ニクスがそれに協力してF14に乗って大空へ。その後になんとか敵国の首都にでも行けたら、もう勝ちだ。首都を凍らせて皆殺し。帰りも一日毎に別の都市を凍らせながら日本に帰ってきたら相手国はズタズタだ。


 まぁそんな人間兵器みたいな事は私がさせないんだけども。て言うか魔導具なんて無くても、私一人乗り込めば国ごと終わらせてやるし。私の家族が暮らす国に核撃って来る国は、相応の覚悟をしろ。


 そんな考えが頭を埋めてるからだろうか、六層に降る雪が核の灰に見えて来た。


 この箱の入口で、一子相伝の暗殺拳を受け継ぐはずだった天然パーマのお兄さんがシェルター閉じたりするのかな。


 私、今ネットであの漫画をチラホラと読み進めてちょっと好きなんだよね。あの謎肩パット好き。


「命を閉ざす雪景色って言うのも、なかなか綺麗だね。あの景色の中に居るモンスター達はたまったもんじゃないけど」


「外でも使えたら素敵なのに、残念ねぇ」


「あ、ニクスね。魔法のおばちゃんに魔法作ってってお願いしたから、普通に使える雪魔法もあるよっ!」


 え、待って何それ聞いてない。


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