バトルドレス。
バトルドレス、という概念がある。
ファンタジー作品に於ける「そうはならんやろ」的なデザインをしておきながら、ガッチガチの
今、まさに私達三人は、そのバトルドレス的な装備を身にまとってる。
私は相変わらず黒を基調としたゴシックドレスで、フリルや刺繍が青くてエレガントな装いになってる。
九層で大量に仕入れた
そこに、仮ミスリルに銅竜の革を裏当てした防御板兼装飾のプレートも節々にあしらってあり、超ふわふわなのに超硬いファンタジー性能のワンピースとなってる。
これは、細部のデザインは違えど、基本は三人とも同じ物。
私のはゴシックロリータ調に、
この装備を見ると毎回お母さんが、「私は歳が…………」って言ってフリフリロリータを拒否するんだけど、もう諦めてよお母さん。お母さんはレベルアップし過ぎてもう、立派な幼妻なんだってば。
高校一年生ですって行っても通るくらい若返ってるんだからね。めっちゃ似合ってて可愛いから。
「これさぁ、デザインの人が『本当はパンプスとかが良かった!』って嘆いてたらしいんだよね」
「流石に、戦ってる時にパンプスはねぇ……」
そんな華やかな装いの私達だけど、足元はゴッツいロングブーツだ。銅竜の皮や翼膜を使った革靴で、日本の技術の粋を詰め込まれてる。履いてても蒸れないし、耐衝撃性にも優れて長時間履いても疲れない素敵な物に仕上がってる。
そんなブーツをギッチリ紐で締めて装備したら、最後にジャケットを羽織る。
これも凄いデザイナーがガッチガチに本気を出したらしく、私達のフリフリドレスの上に着てもデザインやシルエットを邪魔しない神デザインに仕上がってる。
防具を来たら細々としたらアイテムを身に付けてく。
フラッシュバンやスモークバン、ドロップアイテムのパラライズボールやグレイパーなんかの補助アイテムをジャケットの専用ポケットに差し込んでいく。
インベントリが使えるとは言え、インベントリからアイテムを出す時に若干のタイムラグが有るからね。レベルアップして上がった身体能力なら、身に付けた物を使う方が早い。
グレイパーは紐状のアイテムなんだけど、クルクル巻いてスティック状にしてポケットに差す。
全部終わったら床をブーツでゴンゴン叩いて履き心地を確かめ、インベントリから新型ゴスドラを出して肩に担ぐ。
これもデザインは大きく変わってないが、少し大きくなって重くなってる。重心は変わらず、だけど全体的な重量はもっと欲しいと言う私の要望に開発者が応えてくれた形だ。
剛性を出すために表面は仮ミスリルだけど、軽過ぎると重量が威力に計上できないので内部はタングステン系の合金が詰まってる。総重量が70キロくらいだっけなタングステンにも銅竜鱗を添加してみたらしいけど、まだ研究不足で上手く行ってないそうだ。
ちなみに、銅竜の鱗と混ぜた鉄は新しい性質を持つってインベントリの説明にあったけど、仮ミスリルのソレはまだ良く分かってない。これからの研究待ちだ。
ニクスの武器も同じデザイン、性能の新武器を出して私の真似をする。肩に乗せて重量級の武器を肩でトントンする様子は、違和感が凄いよね。七歳の女児が持って良い武器じゃない…………。
こっちの白版ゴスロリは、甘ロリ版って事なのでアマドラと呼ぶ事になった。
最後にお母さんの武器だが、お母さんは方天戟をサブ武器に回し、サブ武器のブロードソードも手放して完全に新武器を持ち込んだ。
私はあまり詳しくは無いんだけど、物としては
お母さん、若い頃はスポーツとしてナギナタをやってたらしく、方天戟もその要領で扱ってたらしいんだけど、これを機にメインウェポンをコレに変えるそうだ。その為に特注の段階でこう言う注文を出てたらしい。
形状はそのまま、
詳しい人に聞いたら長巻は長巻としての使い方があるとかなんかとか、色々と言われるのかも知れないけど、お母さんはあえてコレを選んだ。昔やってて手に馴染むナギナタじゃなく。
理由を聞けば、「ダンジョンは本当に危ない場所だから、一個の武器で出来る事は多い方が良い」って事らしい。
まぁ私も、武器は使い方やその作法とかは置いといて、使えて敵を殺せれば何でも良いよねって感じなので、特に何か言うことも無い。強いて言うなら「実は武器使えるんです」ってお母さんがちょっとカッコイイなって思うくらいか。
ただ、武器の種別は長巻なんだけど、着てるのがドレスなので和風デザインだとイメージが喧嘩する。なので洋風デザインの長巻だ。
…………もうそれ、なんか別の武器なのでは? 別に良いけどさ。
そんな訳で、全員装備完了である。
ああ、私だけはもう一つ、DDスクリプトさんが作ってくれた右手の
アイズギアみたいに魔力操作で動く魔導技術と、超効率電動技術で作られたハイパワーモーターが入ってる物で、流石にレベル9になった私本来のとは比べ物にならないけど、当座のしのぎには使える素晴らしい物だ。
「わんっ!」
ナイトはそもそも裸で、武器もお気に入りの宝箱ドロップのグレートソードがあるので、特に準備は要らない。
このグレートソード、一旦私のインベントリに入れたら名前が発覚した。『メルシオン』って名前らしい。名前っていうか武器の銘かな?
「準備は良い?」
「ええ、
「…………ちょっと、どきどきするねっ」
準備が終わった私達は更衣室を出て、鍵を閉める。中に荷物は何も残してないから、このまま鍵を返せば良い。
出て来た私達を待ち構えてたマスコミ達は、だけど流石に命をかけたくは無いのか遠くからカメラをパシャパシャしてる。まぁ撮影くらいなら構わないよ。
銀級は利用者がまだ少ない、と言うかほぼ皆無なのでプレハブの数も少なく、
「おお〜、流石銀級だね。色がギンギンだ」
「そう言えば、ヒートゲージってどこに有るのかしら?」
そう言えば、私も見た事ないな。
代々木の銅級はもうヒートゲージの心配も無くて気にしてなかったけど、ここはヒートゲージがギッチギチだもんな。
「確か、あの鳥籠の
これから
てっぺんが丸くなってるクロッシュ型の鳥籠は、地面から真上に伸びる太い鉄骨のような骨組み一本一本に、透明で長さ1メートル程の試験管らしき筒が着いている。
その筒の中に、白いラメが入った水銀の様な液体が溜まっていて、それがヒートゲージなのだと分かる。
「……ああ、本当にもう限界なんだね」
少し高い位置にあるヒートゲージメーターはもう、あと1ミリ程で満杯に成程に銀の液体が溜まってた。
銀級ダンジョンの限界は、とても近い様だ
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