お食事会と顔合わせ。



「…………え、このクソガキ達が私の共演者?」


「あッ!? 誰がクソガキだ!?」


「お前らだよクソガキ」


 お父さんに日頃の感謝と溢れる愛情を伝えてから見送って、自分達もお食事会へと出掛けた私達。


 案内の通りに辿り着いた場所は、もう見るからに高級そうなお店で…………、


 そしてソコでクソガキを紹介される。


「大正さん、チェンジで」


「ごめんねフラムちゃん。ジョニーズってホストクラブじゃ無いんだよ」


「似たようなもんでしょッ!?」


「こらこら、なんて事を言うんだ」


 塀があって、庭があって、その中にある高そうな洋館を丸々店舗としてる会員制のレストランの二階。


 そのフロアを丸っと貸し切って開かれてるジョニーズ事務所主催のお食事会。


 まず会場に入ると、私を誘った本人である大正さんと、ジョニーズ事務所の社長である月島つきしまジェリー京子きょうこさんが対応してくれた。


 この時初めて知ったんだけど、ジョニーズの社長ってトゥンクさんで、最近ターキー&フェザーのターキーこと滝川さんに変わったんだと思ってたんだけど、これ交代してるのって副社長の座だったんだね。


 代表取締役社長はずっと変わらずこの人、月島さんだったらしい。


 月島さんはジョニーズ事務所以外にも何個も会社を持ってる資本家で、要するにめっちゃ偉い人だ。


 その後、私って言う起爆剤を使ってジョニーズをもっと盛り立てる気満々の月島さんが私を接待しつつ、今回私が出演する番組「ダン×ダン ファイヤー!」の共演者と顔合わせとなった。


 ああ、お母さんと真緒の紹介と挨拶も勿論してる。自己紹介は本名では無くダンジョンネームで。つまり藤乃プティルと白乃ニクスだ。


 挨拶のあと、月島さんが真緒を見て「…………行けるわね」って言ってたのは印象的だったな。どこに行く気だろうか。


 さて、そう、共演者の紹介をされた訳だ。


 ジョニーズジュニア所属、新進気鋭の三人組アイドルユニット『Tryトライ Popポップ』。


 欠片も礼儀を知らない勝気な俺様系クソガキ、滝谷 蓮たきや れん


 他人に興味無さ過ぎてほぼオール無視が基本のクソガキ、寿屋 丸戸ことぶきや まると


 自分に自信が無さ過ぎて逆に失礼な態度になってるクソガキ、天野 光あまの ひかる


 コイツらと私の初対面はこんな感じだった。


「初めまして、蒼乃フラムです」


「はんっ、お前が蒼乃か。ちょっと有名だからって調子に乗んなよゴキブリ食ったブス女」


「なんだこのクソガキ」


 これである。


 ちなみに、無気力系クソガキは私に興味が無いのでそもそも挨拶のしない。そしてネガティブ系クソガキは自分に自信が無いから変な事を言わないように挨拶をしない。


 つまり、失礼オブ失礼三人組の中で、恐ろしい事に私をゴキブリ食いのブスと言ったクソガキが口を聞いてる分だけ一番マシっていう、地獄みたいな三人組だった。


「月島さん、チェンジでお願いします」


「ごめんなさいね。空いてるのその子達だけなの」


「番組止めません?」


「予定が決まっちゃってるのよねぇ〜」


ohお〜Jesusジーザス…………」


 つまり、私の復活で賑わってるダンジョン業界に切り込みたいけど、色々と予定が重なってて空いてるのがコレだけって事?


 うわ、ゴミ押し付けられた…………。


「はんっ、なんだよ。自信が無いのか?」


「え? いや、チェンジしないと君達が死ぬから言ってるんだけど?」


 私をバカにする様な顔と声で…………、いや顔は最初からバカ丸出しだったわ。とにかく煽ってる来るクソガキに分かりやすく教えてあげる。


「私の蒼炎は私の燃やしたいものだけ燃やしてくれるスキルだよ。…………なんで君達、自分は燃やされないと思ってるの?」


 私、こんなクソガキ守らんよ? むしろ攻撃する側だが?


「は? …………いや、は?」


「あ、分かってないんだね。頭悪っ」


「ンだとテメェッ!?」


 私が豪徳寺お偉いさんと約束したのは、複数回の番組出演だけだ。テレビに出る所までしか約束して無い。


 そう、つまり私はどん・・な振・・る舞・・いを・・する・・かま・・では・・指定・・され・・て無・・いよ・・


 そして、ダン・・ジョ・・ンは・・国公・・認の・・治外・・法権・・だ。


 あとはもう、分かるよね?


 別に直接殺さなくても、「あ、私の蒼炎じゃあの子たちまで焼いてしまう♡ これじゃぁ助けられないわんっ♪︎」て見捨てれば殺せる。それだけで良い。


「分からない? 君達、私に命握られてるんだよ? その自覚があってその態度なの?」


 私、普通に殺るよ? なんなら今殺ろうか? こんな秘匿性が高そうな会員制のレストランの中なら、一人くらい殺したって余裕で笹木さんが揉み消してくれるでしょ。


「ねぇ、死んでみる?」


 まぁ、本当に殺すつもりまでは無いけど、それはそれとしてムカついたら怒るくらいはする。


 私は蒼炎をチリチリと吹き出しながら、ハッキリとクソガキを威圧した。


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