ぽしゃけ。
お母さんと真緒が初めてのダンジョンアタックを経験した日から早、数日。
流石に初めてのアタックから連日でダイブとか鬼畜が過ぎるので、数日はお休みだ。
そうこうしてる内に、ジョニーズの大正さん達とお食事会をする日を迎えてた。
「今日は忙しいな。サンプルが仕上がったって連絡も貰って、いくつか受け取りに行かなきゃだし……」
蒼乃フラム、本日は予定が詰まってます。
先日の顔合わせでダンジョン素材を提供した会社が三件、一週間未満ですぐにサンプルを仕上げてくれたらしい。まずコレを受け取りに行く。
サンプルを見て良さそうなら、別に一社を決める必要も無いので本番用の素材を惜しみなく出して行く予定だ。銅竜素材を使うかは未だ未定だけど…………。
銀級ダンジョンは一層から既に銅級五層レベルのモンスターを出して来るらしいのだけど、それすら人伝に聞いただけで事実かは分からない。
ぶっちゃけると銅級五層のサンダーレオさんを倒した事も無い人達の「五層と同格」って発言には、何の信憑性も無いのだ。
DMのユーザーメニューにある『図鑑』も、実際に倒さないと情報が載らない。だから私は銀級のモンスターを少しも知らない。
アタッカー死亡時にアカウントが消える関係で、サンダーレオに挑んだ人の動画をDMで探そうとしても無理だった。
サンダーレオに挑んだ人は軒並み全滅してて、映像資料すら残ってないのだ。
だから私は、銀級に向かう際にどれくらいの準備をした方が良いのか分からない。一応サンダーレオ君を思い出して基準にしてるけど、当てにならない。
下見くらい出来れば良いんだけど、多分下見だけでもお母さん達が着いてくるって言うだろうし、今の二人を連れてったら下見でも危険だ。
なので、まぁ、二人が育ってから初見で挑む事になる。これは半ば決定事項だね。
「じゃぁ優ちゃん、お食事会は夜なのね?」
「うん。
現在、朝9時半。
お食事会に参加するのは私とお母さんと真緒。お父さんは丁度、上司から食事に誘われてて来れないそうだ。お父さん泣いてた。
二人は約束の時間までにお洒落して家で待機。私はそれまでに三件の予定を回ってサンプルの回収と素材の取り引きだ。遅れない様にしなくちゃね。
「ナーくん、行くよ」
「わぅ」
着替えて外に出て、さっと現れたナイトに跨って出発する。
まずは、
◇
用事を終わらせて来た。忙しかった。
ふふ、私に銀級を任せるなら、相応の苦労をして欲しい…………。
うん、まぁ、えっと、結局私、銅竜素材を笹木さんにぶん投げて来た。
で、企業からサンプルを貰って素材を引き渡す時に、笹木さんに言えば更にスペシャルな素材を用意してありますって言って、丸投げして来たんだよね。
そう、良く考えたら「私だけが持ってて、私だけが知ってる」のが問題だったんだから、さっさと他の人にポイして責任分散しちゃえば良かったんだ。
別に政府へプレゼントした訳じゃなくて、装備に使いたいけど下手な事するとトラブルになるから、よろしくねって形である。
だって、政府は私の銀級アタックを支援しなくちゃいけないんだし、それくらいはして欲しい。せっかくのボス素材腐らせるとか有り得ないでしょ。
「16時! セーフ!」
「おねーちゃん、おかえりなさいっ」
「ふぁぁあー! お洒落してるマーちゃん可愛いぃぃいい♡」
パステルイエローのカクテルドレスみたいなワンピースに、リボンやフリルがたくさんついたサッシュベルトを巻いてる。頭にもリボンがふわっと飾り立ててあって、あああああ可愛いんじゃぁ〜!
私の妹は世界一ぃいいい!
ハイテンションではしゃぐ浅田家の女性陣。対して唯一のメンズであるお父さんは、お食事会に行けなくてズーンってしてる。
片やアイドルグループとお食事会。方や別に好きでも無い上司とお食事会。
………………ごめんねお父さん。
「ねぇお父さん」
「ん、どうした優子」
「これ、これ」
私は帰り際に用意したプレゼントをお父さんに渡す。
お父さんも地味に『|TUKIO《ツキオ》』とか好きだから、今回のお食事会に来れないのは本当に悔しいし寂しいんだと思う。
そんなお父さんに用意したのは…………、
「…………んなっ!? おまコレ、竜泉!? しかも二本!?」
「お父さん、いつもありがとう。プレゼントだよっ」
渡したのは高級な
私は年齢的に買えないんだけど、普通にお母さんのアカウントからネット注文してもらって、コンビニや受け取りボックスサービスを利用すれば良いだけだ。
用事を終わらせた帰り、近くのコンビニに届いてたから受け取って来た。
「一本は上司さんにプレゼントしても良いし、二本ともお父さんが飲んでも良いし、好きにしてねっ」
「おまっ、これ……」
「お父さん、大好きだよっ……♡」
ぎゅーっと抱き締めて、最大限の感謝を伝える。
お父さんには我慢ばっかりさせてる。いつもそうだ。損な役回りばっかりお父さんに行くんだ。
だから、横着せず、恥ずかしがらず、ちゃんと大好きな気持ちを伝えていく。
いつ伝えられなくなるか、分からないもん。
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