母との対立

「おーい。大丈夫か?」

 なんて、学校から帰ってきてドア越しに声を掛けてみたものの、返事どころか物音一つ聞こえてこない。

「中村さん、心配してたぞ~」

 もしかして、本当に寝ているのだろうか。

 ...でも、ワンチャン俺が鬼畜のぼっち過ぎて嫌われて無視されている可能性もある...!

 ドアに耳を付け、意識を耳に全集させてもやはりそれらしい音は聞こえてこない。

 流石に無理やり部屋に入るわけにもいかないし、どうしようかと思っていたらリビングから義母がお菓子意をお盆に乗せてこちらへ来た。

「ああ、おかえりなさい」

「ただいま。よるは大丈夫なの?」

「ええ、今は寝てるわ」

 そう言うと義母は俺と一切目を合わせることはなく、よるの部屋へと入っていった。

 一応、義母によるの現状について後から聞くつもりではあるが、きっとあの人は俺を嫌っているので何も教えてくれないだろう。

 ...これはお手上げかもしれない。

 というか、今の俺にはどうする事も出来ないだろう。

 やはり、同性同士の方が色々と気が楽だうから、俺は明日中村さんを家に呼ぶことにし自室へと戻ったのだった。

それに俺が嫌われるだけで、中村さんがきたらあっさり部屋のドアを開ける可能性もあるしね。


「よるって本当にただの風邪なの?」

 夕食中、義母と父と俺の三人で飯を食うのも、もう一週間になる。

「どういうこと?」

 義母は演技がかった少しわざとらしい笑みを浮かべながら問いかけてくる。

「よるのlineやインスタのアカウントが消えているんだよね」

「そうなのね~でも、ただの風邪だと思うわよ?」

 義母は実の娘のことなのに笑みを一切崩さない。

「その根拠は?風邪とは別に何かに思い悩んでいるという可能性もあるよね?」

「こら!光希、母親に向かってなんだその口の利き方は!」

 ずっと空気だった父親が、口を挟んでくる。

 正直、俺は自分がいるだけで邪魔なヤツという自覚を持っているが、おそらくそれは遺伝だろう。

「はあ。でも、正直風邪で一週間って長いし、このまま話を停滞させても意味なくない?」

「それもそうね。私から聞いてみるわ」

そう言うと義母は無言で食器を持ち台所へと足早に向かっていった。




あれから6時間ほど経った深夜零時。

トイレに起きた、俺がトイレから出るとどこからか若い女の声が聞こえてきた。

「ごめ...なさ...い」

何かに怯えたよいにすすり泣いている。

俺は物音を立てないように音を辿るとよるの部屋からのものだった。

もう一度先ほどのように、耳をつけてみるとよるが何かに耐えるかのようにすすり泣く声が聞こえてくる。

「いたっ...!ごめん..」

「私の方が痛いわよ!」

部屋から義母の声を聞こえる。

これはもう確定で何かあるだろう。

急いで部屋に入ろうとドアに手を掛けたが鍵がかかっていて入れない。

俺は力任せに何度も何度もドアを蹴り強引に突き破ったのだった。


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