第21話、美少女舐めたらあかんぜよ!
カァン!!カァン!!カァン!!カァン!!
非常事態の鐘が鳴り響き、トーキの街中が一気に慌ただしくなった。
「....うるせーな。朝っぱらから何だよ...。俺はまだ眠たいんだよ...。」
外の騒がしさを無視して俺はまだベッドでモゾモゾしていると急に部屋のドアが開いた。
「クロさぁぁん!!大変でぇぇす!!街にドラゴンが出たぁぁ!ドラゴンが出たんですよぉぉ!!」
慌てた様子でトーマスが部屋に入ってきた。
「...ん?そうか...?街にドラゴンくらい出るだろ、普通...。俺はまだ眠たいから寝かしてくれよ...。」
「出ねえよ!!普通は街にドラゴンなんて出ねんだよ!!
そんなツッコミしてる場合じゃないですって!シャルルちゃんとシズクちゃんが食堂の買い出しに行ってて市場から帰ってきてないんです!!」
「何ぃぃ!?」
俺は飛び起きて急いで準備をして宿屋の一階に降りる。降りるとアンネさんが泣きそうな顔であたふたしていた。
「アンネさん!!2人はまだ戻ってきてないんですか!?」
「は、はい!!2人に何かあったら私...私...。」
「大丈夫!!俺達がこれから迎えに行ってきます!!2人はどこまで買い物行ったんですか!?」
「中央広場の市場だと思うんですけど...。」
「中央広場...。ッチ!少し遠いな...。分かりました!!アンネさん達も避難しておいてください!!トーマス!!行くぞ!!」
「はい!!」
俺達は宿屋を出て大通りに出る。大通りは避難してくる人でごった返していた。只でさえパニックが起きていて大変なのにここを逆走するのは難しい。
「クソがッッ!!トーマス!!悪いが俺は先に行く!!」
「へ!?この人混みの中でどうやって...?」
俺は脚に力を入れる。
「下がダメなら...上しかないだろ!!」
俺は大通りの建物の上まで飛んで屋根の上を猛スピードで駆け抜けた。
「クロさん、凄っ!!僕も負けてられない!!僕も行くんだ!!」
トーマスは人混みをかき分けて中央広場を目指した。
▼▼▼▼▼
中央広場では...。
「何でこんなところにドラゴンが...。シズク!!私の後を離れないで!!」
「...うん。」
シャルルとシズクはドラゴンと対峙していた。
「こんな街燃やし尽くしてやるぞぉぉ!!
クソがぁぁ!!
ワシの家をぶっ壊しやがってぇぇ!!全て燃えてなくなってしまえぇぇ!!」
ドラゴンが炎を辺り構わず撒き散らす。
「炎が...!!もう!!
シャルルはその炎から逃げ惑う住民を守るために魔法を使い炎をドラゴンに跳ね返した。
「ん?なんでワシが放った炎が反ってくるんだ?」
ドラゴンは不思議そうに辺りを見渡す。すると二人の少女が目に入った。
「ほう...。お前達がワシの炎を返したのか..。
ほうほう、ええのぉ~。ワシのモロ好みじゃ。ほれほれ~、近こう寄れ。」
ドラゴンは鼻息をフガフガと鳴らし興奮しながらシャルルとシズクに言ってくる。
「なんじゃ?コイツは本当にドラゴンか?」
シャルルは不思議に思っていた。
ドラゴンとは元来人里に降りることはない。
しかも、人間は劣等種としてしか見てないので人間に発情する事はない。
しかしこのドラゴンはどうだ?
まるで人間の...しかも下劣な人間の思考そのものじゃないか?
「もしや、お主は人間か?」
シャルルはドラゴンに向かって問う。
「ほう...。好みの顔だけじゃなく博識とは...。ますます好みじゃ!!この街を燃やし尽くしたらワシと一緒に来い!!愛でてやるぞい!!ふがぁ~!ふがぁ~!」
ますますドラゴンの鼻息が強くなりその風圧で広場がめちゃめちゃになっていく。
シャルルは結界魔法で逃げ惑う住民を守りながらドラゴンに言葉を返した。
「断る!!お主のような下品極まりない偽ドラゴンが、この世界で一番可愛い美少女ヒロインシャルル様がついていく訳がないじゃない!!美少女舐めたらあかんぜよ!!」
シャルルはポーズを決める。そしてなぜか釣られてシズクもポーズを決めた。
「...可愛い。決めたこの街をぶっ壊したら二人ともワシの嫁にする!!絶対に!!」
「させないよ!!魔法を凝縮する時間をくれてありがとう。これでお主はは終わりじゃ。
凍り尽くせ!!
シャルルが放った魔法がドラゴンの巨体をを覆い凍り尽くしたのだった。
黒の剣鬼 一ノ瀬 遊 @ichinose1120
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