第4話 「今日は私たちとデートをしよう!」①

 前回の出来事から数日後、俺は何故か乙坂姉妹とショッピングモールに居た


 

  理由はかれこれ三時間前……

  

 『ばんばん!!』

 

 あの二人が家に来て初めての休日、俺の部屋のドアを強く叩く音が聞こえて目が覚めた。

 

「ん~。誰だよぉ。まだ八時半じゃん……」

 

 そうボヤきながらドアを開けると、白髪のロングヘアの女子がたっていた。

 

「…………瑠花?」

 

「いや、彩花だよ!?」

 

 いやいや、マジで分からないんだが。

 せめて髪を結んでくれ。本当に見分けがつかない。

 これが俺の今日初めて思ったことだ。

 

「………まあいいや、で?何か用?」

 

「まあ、いいやで済まさないでよ!?結構失礼だよ!それ」

 

「いやいや、せめて見分けるための特徴を付けてくれ」

 

「慎也への愛の強さが見分ける特徴かな!」

 

 一転ドヤァとした顔で指を刺してくる彩花。

 俺は彩花の人差し指を逆方向に曲げる。

 

「いだだだだ!」

 

「人を指さすな」

 

「酷いよォ」

 

「それで?何か用か?お前のせいで完全に目が覚めちまった」

 

 眠い目をこすりながら俺は彩花に質問をする。

 

「ふっふっふっ。よくぞ聞いてくれました!今日は私たちとデートをしよう!最近できたショッピングモールで!」

 

「……あーいきなり眠気がぁ(棒)」

 

 後ろ歩きでそそくさと俺は後ろに下がっていく。

 

「ほらー。逃げない逃げない!瑠花を起こして早く行くよー」

 

 強引に彩花の馬鹿力に捕まえられショッピングモールへの連行が決まった。

 

 

 

「おー大きいねぇ」

 

「…………」「…………」

 

 目を輝かせながら興味津々な彩花の後ろで負のオーラを放っているのは俺と瑠花だ。

 言っておくが俺はバリバリのインドアだ本来こんな人が多いところは行かない。というか行けない。

 恐らく瑠花もそうなのだろう。

 

「ほらー。二人ともそんなにいじけないでさ!どうせ来たんなら楽しもうよ!」

 

 早足でモールの中に行こうとしている彩花の後ろを重い足取りでついて行く。

 

「……瑠花もこんな感じのとこ苦手なのか?」

 

 ちらりと俺が瑠花の方を見ると少しだけ目が合う。

 瑠花はすぐに目を逸らしてしまった。

 やっぱ俺って嫌われてる?

 

「………昔から人混みが多いところは苦手……」

 

「……そうか」

 

「……ああなったら、彩花は止まらない。今日一日付き合うしかない」

 

「……今日はよく喋るんだな」

 

「……はっ!?……そんなことない」

 

 彩花はやってしまったといった表情を一瞬浮かべたが、すぐにいつも通りの表情に戻った。

 

「……まぁ、今日一日付き合うしかないな」

 

「…………」

 

 

 言葉ではそう言いつつもやはり少しだけめんどくさい俺と瑠花であった。

 

 

 

 

「な、なんだこれは……」

 

 最初に俺たちは服を買いに来た。

 だが、さすがはできたばかりの店舗だ。

 周りを見渡すと少し動くだけでも人と肩が当たり、まるで満員電車のようだった。

 

「うわぁー。すごいねこれ」


 彩花もここまで混んでいるとは思っていなかったようだ。

 

「いや、だとしても混みすぎだろ。服屋に人が集中し過ぎだ」

 

「開店セールにより今日だけ全品三割引でーす」

 

 なんでこんなに混んでるのかと考えていると服屋の奥の方から女性店員の声が聞こえてきた。

 

「開店セールだって!瑠花!慎也!行こ!」

 

 俺と瑠花の手を引きながら彩花は店の方に走っていく。

 

「は?マジで行くのかよ!」


 

「と!言うことで今日は普段ファッションセンスゼロの慎也くんの服を選ぼうぜ対決をします!」

 

「どういうことだよ!?」

 

 たしかに俺の普段の格好は学校の体育時に使うジャージかスウェットである。

 なんなら自分で服を買ったことが無い。

 

「……あんまりやりたくない」

 

 ほら!やっぱり瑠花もやりたくないって言ってるじゃん!

 

「問答無用だよ!今の私は誰にも止められないよ!」

 

 と、まぁ俺の第一仕事はリカちゃん人形役になった訳だが、

 

 色々あって五分後……

 

「はい!これ着て!」

 

 割と早く、まずは姉の彩花が服を持ってきた。

 

「お、おう」

 

 俺は足早に試着室に入って彩花の選んでくれた服に袖を通す。

 

「もう大丈夫~?」

 

「あ、あぁ」

 

「いざ!開封!」

 

 恐らく他の客にも聞こえているであろう大きい声で彩花がそう言うと試着室のカーテンが開いた。

 

「お~さすがは私。いいセンスしてるわ」

 

 俺が来ている服は七分袖のTシャツにかなり緩めのズボン。

 そして目立ちすぎずだが、少しだけイケてる感があるネックレスだ。

 これは誰が着てもそれなりに似合うファッションだ。

 確かにこれはセンスがあると言わざるを得ない。

 

「たしかにこれはいい感じだな」

 

「ふふーん、そうでしょ!」

 

 どうだ!と言わんばかりに彩花が胸を張る。

 ただでさえ目立つ胸が余計に強調されていた。

 

「とりあえずこれ全部買うわ。ありがとな彩花」

 

 なんか三話ぶりぐらいに彩花に感謝する気がするな。

 

「ん!」

 

「……何?」

 

 彩花は自分の頭を自分で指を指している。

 どういうことだ?

 

「女子に感謝する時は頭を撫でてあげるのをセットにすると好感度が上がること知らないの!?」

 

 全く知らない……つーか下手すりゃ犯罪になるし……。

 まあ、たまには要求に答えてやるか……。

 俺は小さい彩花の頭に手を置き、頭を撫でた。

 こんなんで満足するものなのか?

 

「へっへー」

 

 彩花は少し顔を赤くしながら満足そうにしてくれていた。

 こんな顔されたら自分まで少しだけ気恥ずかしくなってしまう。

 

「………ちょっと、いい?」

 

 この雰囲気のなか話しかけてきたのは姉の瑠花。

 その手には俺のために選んできてくれた服がちょこんと乗っていた。

 

「………はい。これ、選んで来た」

 

「お、おう。サンキュ」

 

「じゃあ、私は自分の服の服選んでくるねー」

 

 俺は瑠花の手に置いてある服を取る。

 その時、少しだけ瑠花の手に触れてしまい瑠花はすぐに手を引いてしまった。

 

 ……これは嫌われてるな。

 

「……もういい?」

 

「いやいやこれは……」

 

 『バッッ』

 

 その瞬間、試着室のカーテンが開いた。

 今回、瑠花が選んできてくれた服は白のTシャツだが、真ん中にペンギンのイラストがある上にローマ字でpenginと書かれていた。

 こ、これは……絶妙にダサい

 

「……ど、どう?」

 

 何故かこういう時だけ目を輝かせながら瑠花は聞いてくる。

 そもそもなんでこの服なんだ?

 嫌がらせか?でもこの聞き方だし……嫌がらせでもない気がする。

 瑠花はペンギンが好きなのか?

 などなど、色々な思考が俺の頭の中を巡る。

 

「いやーこれはー。結構可愛いな!特にペンギンが!」

 

 こ、これで合っているのか?

 

「………だ、だよね!可愛いよね!ペンギン!」

 

 なるほど、瑠花はペンギンが好きなのか……。にしても、回答間違えなくてよかった……。

 ほっ……としたのも束の間。

 

「こ、これは……絶妙にダサい!」

 

 自分の服を選びに行っていた彩花が帰ってきた。

 この言葉を聞いた瞬間

 『ガーン』といった瑠花の表情。

 いや、なんなら少し涙目だ。

 

「……ダ、ダサいかな?」

 

 いやいやそんな涙目で見られて、「ダサい」なんて言えるわけねーだろ!

 ここで俺に出来ることはただ一つ。

 

「いや、普通に可愛いだろ」

 

 真顔で可愛いと言うことのみ!

 

「えー!慎也はこっちの方が……」

 

 俺は彩花に目線でこれ以上言ったらどうなるかわかるよな?

 っと、送った。

 

 彩花も全てをわかったのか首を何度も縦に振っている。

 

「じゃあさ!次はこっち着てみて!」

 

「俺はお前らの着せ替え人形じゃねぇ!」

 

 その後色々あって彩花と瑠花の選んだ服を全て買うことになった。

 さようなら、俺の小遣い……。

 

 デート編②に続く。

 

 

 

 

 

 

 こんにちは三上蒼太です!

 今回は少し長めになっちゃいました!

 ここまで見てくれる人がいると凄く嬉しいです!

 

 さて、僕にしては珍しく次の話は少し構想があるので今回よりは文もまとまって読みやすいと思います!

 ですので出来れば見ていただけると嬉しいです!

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姉の瑠花は俺のことが嫌い、妹の彩花は俺のことが好きそんな二人と同居することになりました 三上 蒼太 @koushien

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