第4話 エピローグもとい、ひよりの選択
「おー、帰るの?」
十八時前になると、彼女は帰宅の準備を始めた。
「はい、真っ暗になったら流石にヤバそうだから」
僕はうんうんと頷いた。
「なるほど、たしかに……。そういや、あのオムライスってホント美味しかったけど、なにか隠し味でもあるの?」
「うーん……特別これっていうのは聞いたことないですけど、ああ、おじいちゃんが冗談だと思いますけど言ってましたね。うちのオムライスは、皆の笑顔と喜びが入ってるとか」
僕はその言葉に微笑んだ。隠し味ではないけど、とても納得してしまった、こっこだから言える素敵なものだと思った
靴を履いた彼女は玄関に積まれたダンボールに目をやると。
「あれ、全部仕送りなんですか……?」と聞いてきた。
「ソウダヨ」
色々と現実を思い出したら、僕の声は自然と棒読みになっていた。
ほんと、すごい量だよなあぁ。
真面目に、どうしよう、ほんっと、どうしよう……友人にまた配らないと……いや、これを機に料理するとか……まったく知識ないのに??? 心の中は大混迷だ。
僕がう~んと声をあげて悩みそうになったところで、ひよりは少しもじもじしながら言った。
「もしよかったらなんですけど、またここに来て、料理作ってもいいですか? 教えることも出来ますよ」
「えっ、いいの?!」
それはとてもありがたい申し出だが、迷惑にならないだろうか。本当に包丁の使い方も知らないし……不安を感じる僕に、彼女は茶目っ気たっぷりな仕草をした。
「もちろんです、これが、私の選択なので」
満面な笑みを浮かべるひより。
彼女の選択に、嬉しくなってしまう自分に苦笑してしまう。僕は呟いた。
「完敗です」
オムライスは、いかが?〜何があなたを突き動かしていたの?〜 つづり @hujiiroame
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