第3話

「ふふふ~」

「あ、あの」

「可愛い…」

「音無さん…」

「名前…」

「えっ?」

「名前で呼んで」

「依桜さん…」

「呼び捨て」

「依桜…」

「うん」

「ねぇ依桜…」

「何だ?」

「そろそろ撫でるの止めない…?」

「えー」


2人が恋人同士となり数分後。

美月愛璃は、音無依桜によって撫でられていた。


なでなで・・・。


「うぅ…」

「可愛いなぁ」

「依桜の方が可愛い」

「むっ。愛璃の方が可愛い」

「依桜の方が可愛い」

「愛璃!!」

「依桜!!」


どちらが可愛いなどの言い争いをしていると…。


ガチャ


「ただいま~。ってあら?お客様かしら?」


どうやら音無家の誰かが帰って来たようだ。


「はっ!?」

「ん?今の音って…」

「帰って来た!?」


「依桜~。誰か家に入れてるの?」


ガチャ

誰かが音無依桜の部屋の扉を開ける。

入って来たのは、音無依桜によく似た女性だった。


「あっ…」

「お邪魔してます」

「…依桜が男の子を連れてる!?」


音無依桜によく似た女性は、驚きを隠せないでいた。


「ママっ!!」

「依桜のお母さん…?」


部屋に入って来た者の正体は、音無依桜の母だった。



「もしかして彼氏さん…?」

「うん…」

「初めまして。美月愛璃です…」


美月愛璃は、自己紹介をする。


「これはご丁寧にありがとうございます。私は、音無舞桜おとなしまお。音無依桜の母です」


音無依桜の母親、音無舞桜も挨拶をする。


「うぅ…」

「えっと…」

「というか、依桜」

「何?」

「何この子!!可愛いじゃない!?」

「うぇ!?」

「はい…?」

「どこで捕まえて来たの!?こんな可愛い子!!」

「えぇ!?」

「えっと…」

「甘いものは好き!?ケーキあるけど食べる!?」

「ママ!」

「えっと…。好きです…」

「そっか!!じゃあ待ってて!!今、お皿の準備するから!!」


バタバタ…。

音無舞桜は、部屋を飛び出しケーキの準備を始めた。


「なんかごめんな」

「い、いえ…」


音無依桜は、気まずそうに謝る。


バタバタ…。


「持って来たよ!!」


音無舞桜がケーキと紅茶を持って、部屋に戻って来た。


「愛璃君だったよね!飲み物は紅茶で大丈夫だった!?」

「は、はい…」

「ちょっとママ!!愛璃が怖がってるじゃない!!」

「だって!!」

「だってじゃない!!」

「あの…。僕は大丈夫ですから…」

「「キュン♡」」


美月愛璃は、上目遣いで2人に訴えかける。

流石、親子といったところだろう。

反応まで同じだ。


「それで馴れ初めとか聞いても良い?」

「ママ!」

「あの…。馴れ初めと言うほどでもないのですが…」

「良いの良いの!聞かせて」


音無舞桜は、2人に迫る。


「えっと…。付き合い始めたのはさっきなんです…」

「そうなの?」

「うん」

「僕が前々から依桜さんの事が好きで、告白しました…」

「あらあらそうなの!?」

「はい…」

「あれっ?そういえば依桜。あんた前に好きな人居るって言ってなかったっけ?」

「ふぇ!?」

「はい…?」


そう。

実は、以前に音無依桜は、独り言で美月愛璃の事が好きだと呟いており、音無舞桜はそれを聞いていたのだ。


「ななななっ…!!」

「そうなんですか…?」

「そうだよー。もしかしてそれって~?」

「もうっ!!そうだよ!!前から愛璃君の事が好きだったよ!!」

「やっぱりそうなのね~」

「…」

「あ、愛璃…?」

「あっ!ごめん…。ちょっと嬉しくて…」

「ふふふっ。若いね~」



お互いの気持ちを才覚にしたところで、音無舞桜の質問が再び始まる。


「それで依桜は、いつから愛璃君の事好きだったの~?」

「うっ…。愛璃の前で言わなきゃだめか…?」

「だめ」

「うっ。そ、そうだな…。実は、入学式の時にだな…」

「入学式の時?」

「そ、そうなのですか…?」

「…うん」

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合わない二人? MiYu @MiYu517

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