第2話

「はいお茶」

「ありがとう…」

「ん」


今、二人は音無依桜の家にいる。

それも音無依桜の部屋だ。

さらには今の時間、音無依桜の両親は仕事の為、家には不在。

つまり、二人っきりなのである。


「「…」」


「(やばい!何となく愛璃君を招き入れたけど、どうしよう!!)」

「(音無さんのお家だ…)」


「な、なぁ美月」

「は、はい!。何でしょうか…」


沈黙が続く中、言葉を発したのは音無依桜だった。


「美月の趣味って何なんだ?」

「趣味ですか…?」


突然の質問に困惑する美月愛璃。


「えっと…。甘いもの食べたり、ゲームセンターで遊んだりかな」

「ふむ。そうか…」

「う、うん」


「…」

「…」


再びの沈黙。


「音無さんは?」

「ん?」

「音無さんの趣味は何でしょうか…?」

「私か?私はだな、この部屋を見ると分かるかもだが、ぬいぐるみを集めることだ。それこそゲームセンターとかでな」

「そ、そうなんですね」


音無依桜の部屋には溢れんばかりのぬいぐるみが置いてある。

クマやウサギ。

他にも大小さまざまなぬいぐるみが部屋のいたるところに置いている。


「意外か?」

「う、うん。ちょっと意外かも…」

「やっぱりそうか」

「で、でも!!。普段カッコいい音無さんの可愛い一面が見れて嬉しいです!!」

「なっ!」


美月愛璃は、上目遣いで音無依桜に訴えかける。


「(くっ…。そんな可愛い顔で見つめないでくれ…!!)」

「(音無さんの顔が赤いような…。もしかして、体調が悪いのかな)」


「お、音無さん。顔が赤いようですけど体調が優れないのでしょうか…?」

「あ、いや!!。大丈夫だ!!。何も問題ない!!」

「そ、そうですか…」


「な、なぁ美月」

「は、はい!」

「お前好きな人とか居るのか?」

「好きな人ですか?」

「ああ」

「えっと…」

「…」


音無依桜は、真剣な目で美月愛璃を見つめる。


「はい…。居ます」

「そ、そうか…」


「(やっぱり居るのか。そうだよな…)」


音無依桜は、失恋をした。

そう思っていると…。


「あ、あの…」

「ん…?」

「僕の好きな人はですね。音無さん。あなたです…」

「えっ…?」

「僕は、音無さんのかっこよさに惹かれていました。憧れにも近いかもですね。それでいて、僕なんかにいつも話しかけて嬉しかったです。あっ、でもかっこよさもあるけど、可愛いさもあってより惹かれました。」

「うん…」



「こんな頼りない僕ですけど、付き合ってくれませんか?」

「はい…」



音無依桜から、涙が零れ落ちる。


「お、音無さん!」

「ぐすっ…。見るなぁ…」

「う、うん」

「うぅ…。嬉しい」

「えっ?」

「愛璃君に好きって言ってくれて嬉しい」

「うん…」

「私も愛璃君が好き。どうしようもないほど大好き。愛璃君のその優しさが好き。可愛いところも好き。私を怖がらずに話してくれるところが好き。私を好きでいてくれる愛璃君が好き」

「うん」

「こんな私だけど付き合ってもらえる?」

「うん。僕で良ければ」


こうして2人は恋人同士となった。

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