第1話
「美月」
「音無さん?どうかしたの?」
「今日、放課後買い物に付き合え」
「今日・・・?」
「ちなみに拒否権は無いから」
「う、うん・・・」
「(やっぱり愛璃君可愛いよぉぉぉぉ!!小動物みたいで抱き着きたい!!)」
「(音無さんから誘われた・・・!!嬉しい・・・)」
今日も両片思いの二人の日常が幕を開ける。
ヒソヒソ・・・。
「ねぇ、美月君って音無さんにいじめられてない・・・?」
「やっぱりそうだよね・・・」
ヒソヒソ・・・。
クラス内では、美月愛璃が音無依桜によっていじめられているという認識だ。
その認識があるにも関わらず周りは何もしない。
みんな、音無依桜を恐れているのだ。
ギロッ!!
「「ひぃ!!」」
音無依桜は、周りの人間を睨みつける。
それにより、クラスのみんなは萎縮しているのだが、ただ一人だけは気づかない人間もいた。
「音無さん・・・。大丈夫?何かあったの・・・?」
美月愛璃だけは、音無依桜が睨みつけているのを気付かないのだ。
「大丈夫だ。美月が気にする事ではない」
「そっか・・・」シュン・・・。
「おい!お前がそんなに気にする事じゃないだろ!!」
「そ、そうだよね・・・」
「(しまった。つい大声を出してしまった!)」
「(やっぱり僕なんかじゃ音無さんの悩みなんて解決しないよね・・・)」
「な、なあ美月」
「ん・・・?」
「すまない。急に大声出して」
「僕の方こそごめん。僕なんかが踏み入った事聞いちゃって・・・」
「放課後話すよ」
「えっ・・・?」
「だから待ってろ」
「うん」
そうして放課後を迎える。
「美月、黙ってついて来てくれ」
「うん」
音無依桜は、美月愛璃を連れ学校を後にする。
その間、二人の間には会話は無く、沈黙が続く。
「ここだ」
「ここって・・・」
2人はしばらく歩いたのち、目的地に着いた。
ガチャ・・・。
「ほら美月、入って良いぞ」
「入って良いって言われてもここって音無さんの家?」
「そうだ。すまないな。買い物をする予定だったのに」
「そこは気にしなくても大丈夫だけど・・・」
「どうかしたのか?」
「ちょっと緊張しちゃう・・・」
「(どうしてこんなに初々しいの!!)」
「(うぅ・・・。音無さんお家だ・・・。緊張するなぁ・・・)」
「とりあえず入れ。立ち話もアレだからな」
「う、うん」
音無依桜は、初めて男の子を家に招き入れ、美月愛璃は、初めて女の子の家にお邪魔することになった。
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