第46話
「それじゃあ、今日から遠征に行く子は十分気を付けてね」
遠征の準備を終えた翌日の朝、出発前に教室でグレイシア先生から、今日から遠征が始まる事、そして帰ってくるまで気を付けるよう言われた後、俺は教室を出た。
ちなみに俺を含めたクラスメイトの殆どは今日から早速出発するみたいだね。
荷物と槍を背負い、集合場所の校門前まで行くと、既に先輩達4人が揃っているのが見えたので、少し急いで先輩達の元へ向かう。
「おはようございます。お待たせしましたか?」
「おはよう、ライル君。大丈夫よ、私達もちょっと前に着いたばかりだから。それじゃあ私達は揃ったし、早速出発しましょうか」
合流して早々、パーティーメンバーが揃った俺達は校門から移動してそのまま王都を出た。
俺達以外にも校門前を集合場所にしてたパーティーがいたからね、混み合う前に校門から離れた感じだ。
「…整えられた道を進むだけだから、俺達がこの道から逸れるか、魔物が襲ってこないかぎり、戦闘する事は殆どないですよね」
「うん、そうなるね。この道は鉱山以外にも分岐してて、王都近くだとそれなりに人も通るから道から外れない限りは魔物もあまり襲ってこない。だから鉱山近くまでは移動がメインになるよ」
「わざわざ戦闘しに行くこともないし、適度に休憩を挟みつつ、鉱山まで万全の状態を保って挑めるようにしていきましょう」
アイリス先輩の言う通り、道中でわざわざ戦闘しに行くこともない。依頼や食料の確保とか、目的があるなら別だけどね。
初日の道中は冒険者や旅人、馬車とすれ違ったりするくらいで、戦闘や問題が起きる事なく順調に移動できた。
夕方頃には道のはずれに野営と休憩ができるような平らな場所まで移動して、今日はそこで野営をすることになった。
ここはよく利用される場所なのか、既にテントがいくつか設営されていて、そこそこ人がいるみたいね。
気になったので先輩達に聞いてみると、どうやら思ってた通りの場所だそうで、利用者が多いみたい。
テントは男女別で2つ設営した。どちらも学校から借りた物で、大人3人は横になれる大きさのテントだね。
大きさがどちらも同じなのはテントを1つしか設営できなかった場合や壊れた場合も想定してる。
テントは夜番も含めて男女別になればいいし、5人だと横にはなれないが、テント内で座って休んだり話し合いもできるからね。
今日の料理当番は俺とクレア先輩、明日は俺とミーア先輩、明後日はクレア先輩とミーア先輩、という風に1日おきに1人ずつ交代しながら2人体制で料理をする。
料理できる人が複数いるからできることだね。
夕食は野菜多めの料理だったけど好評だったよ。
食事が終わったら明日の予定を話し合ったけど、今日と変わらず移動メインだから引き続き休憩も挟みつつ、万全の状態を維持しながら進んで行くことになった。
夜番は後半なので先に寝て休み、起きたらアイリス先輩とクレア先輩と一緒に雑談をしながら夜番をした。
今日は戦闘がなかったので夜番の間に軽く鍛練もしておき、身体や魔力操作を鈍らせないようにしてる。
朝になれば引き続き俺が料理当番なので朝食の準備を進めて、上級生2人が起きたら朝食だ。
昼食や夕食に比べて軽めだから1人でも作るのは問題ないし、ミーア先輩には夜番の交代の時に伝えてるしね。
朝食が終わったら片付けをして、少し休んでから出発だ。
2日目の移動も特に問題や戦闘をすることもなく順調に進んだ。
昨日と違ったのは、周囲を見渡しながら道を歩いてると、草原ではホース系の魔物と戦ってるパーティーが遠くで見えたのと、昼過ぎに分岐した道を通ってからは誰かとすれ違う回数がかなり減ったくらいかな。
夕方には山が見えたところで移動をやめて、野営をすることになった。
クレア先輩曰く、夕方に見えた山が目的地の鉱山で、このまま順調に進めれば遅くても4日目の昼前には着くだろうと教えてくれた。
3日目は朝の移動中に鳥系の魔物1体が空から襲ってきたけど、俺が風魔法で返り討ちにして解体したら肉は昼食になった。
その日すれ違ったのは2回で、歩きで鉱石の入った荷物を背負って運んでたのと、馬車を利用して鉱石を運んでた。身なりからして、どちらも冒険者パーティーだと思う。
夕方頃には鉱山前の森に着いた。
森から鉱山の入口までの道も整っており、馬車も通れるみたいだね。ここから歩きだと1〜2時間くらい掛かるそうだ。
暗くなってきたのもあり今日はこれ以上進まず、森の入口近くで野営をして、明日の朝から鉱山へ入ることになった。
4日目の朝、朝食と片付けを終わらせた後、出発前の打ち合わせをしている。
「それじゃあ、出発する前に今回の目標の確認をしていくわよ」
依頼の内容で俺達が決めてた目標はこんな感じ
◯第一目標
銅及び鉄鉱石の採掘とアイアンゴーレムの討伐
難易度としてはこれが1番低く、達成しやすい。
アイアンゴーレムに対して、ディーン先輩とミーア先輩の攻撃が支援魔法込みでも殆ど通用しなかった場合は採掘、他の魔物を優先して相手をしてもらう。
◯第二目標
銀及び魔鉱石の採掘
アイアンゴーレムは上級生2人を除いた3人でも、他の魔物との戦闘は5人で苦戦することなく戦えたら、鉱山中部辺りまで探索範囲を広げ、発見したら採掘する。
◯第三目標
スチールゴーレムの討伐
優先度は低め、中部辺りで鉱石を探してる時に発見したら戦う。
アイアンゴーレムで苦戦するなら戦闘は回避するけど、ガイウスさんのお願いがあるので、1戦だけなら俺が前衛になって戦う許可はもらった。
ゴーレム系と戦う機会はなかなかないからね、前衛の戦い方を見せる。という条件込みで許可をもらったよ。
こんな感じで目標と優先度を事前に決めている。
正直アイアン、スチールゴーレムも俺とアイリス先輩の攻撃魔法で遠距離から一方的に攻撃すれば楽に倒せるだろうけど、途中で他の魔物とも戦闘になるだろうから、魔力残量やパーティーの状態と相談だ。
念の為、魔力回復のポーションは持ってきているので、それの残り次第というのもあるかな。
こうして改めて目標の確認ができたので、生き残ること最優先で俺達は出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。