第31話
ガイウスさんに槍を預けた次の日、基本毎日やってる鍛練は氷魔法で槍を作って代用した。
朝は属性魔法の授業で、今回はひたすら的当をして精度や発動速度を上げる練習だ。前回は光と闇魔法の初級と言えるボール系とアロー系を覚えて練習してたら最後にグレイシア先生と魔法の撃ち合いになったからなぁ…
最初の授業でやった適性確認からそのままグレイシア先生のグループになったんだけど、魔法が得意な生徒が多いのか覚えるのが早かったり、既に使える魔法を練習してる人が多かったみたいだね。
まだ魔法が使えない生徒はグレイシア先生と補佐の先生が近くにいて教えてたり、同じ属性の魔法が使える人に聞いてきたりして試行錯誤していた。
俺の場合は、最初にその属性の魔力の感覚と言えばいいかな?それを覚えてから魔法を唱えて発動するまで繰り返す方法で試している。
だから前回の授業で最初は光と闇魔法が使える補佐の先生に光と闇属性の魔力を俺に流してもらってその感覚を覚えたら、魔法が発動するまで何度か唱えているとどちらも発動したんだ。
それで他の生徒より発動するのが早くて、注目されつつ練習してたらグレイシア先生に目をつけられて撃ち合いになったんだよ…
お昼の後は授業がなく、1組の教室に集まるよう朝に言われてるので、朝に作った昼食を教室で食べながらのんびり待っている。
今のところクラスメイトはいないので、寮じゃなく学校にある食堂か外で食べてるのだろうと思っていたら教室のドアが開いた。
「ん?思ってたより早く来たね」
「あれ?ライル君?」
「あ、ほんとだ、ライル君がいる〜」
「お?もうライルがいるじゃん」
クラスメイト3人が入ってきた。少し汚れてるけど、朝は依頼を受けてたのかな?気になったので聞いてみると、3人で運搬の依頼を受けてたみたいだ。
「それはお疲れ様。お昼を食べたならまだ時間あるし、顔を洗ってくるといいよ。それとも俺が生活魔法使おうか?」
「え?あ、荷物運んでたから少し汚れてるな。俺はちょっと洗ってくる」
「あ、本当だ。私も洗ってくるね」
「わたしは生活魔法が気になるからやってもらおっと。ライル君お願いしてい〜い?」
「了解、それじゃ使うよ」
「は〜い」
男女2人は出ていったので、1人の女子にクリーンを唱えてキレイにする。
「おお〜、ほんとに服と身体が洗ったようにキレイになった。私も生活魔法覚えようかな〜…」
「生活魔法は魔力さえあれば大半の人が覚えられる魔法だし、今度の遠征では野営もすると言ってたから覚えておいて損はないよ。飲み水や火も出せるしね」
生活魔法に興味を持った女子に他の生活魔法を見せると、その女子は目を輝かせた。
「へぇ〜、戦闘以外で使える魔法なんだ。ありがとう教えてくれて〜。やりたい授業があったから選ばなかったけど、次の選択授業では選んでみるよ〜」
「うん、早く覚えられれば合格貰えて、その分時間を作れるからオススメだよ」
「お〜、それはいいね〜」
そんな話をしていると、男女2人が戻ってきて、クリーンを使った女子を見て驚いていた。
2人にもクリーンを使い、同じことを説明すると興味を持ったのか次の選択授業で受けて覚えておきたいと言ってたね。
「お、みんな揃ってるねー♪それじゃあ早速この昼の時間でやることについて話していこうか」
時間まで雑談しながら待っていると、グレイシア先生が入ってきて説明が始まった。
「1回目の選択授業の後、遠征するパーティーとなる在校生達と顔合わせをするだろう?その組み合わせの参考にする為、君達には2人以上のパーティーを組んで模擬戦をしてもらいたいのさ」
…まぁ、これはなんとなく予想できてたかな。
授業にしろ訓練場にしろやってたのはソロでの練習や模擬戦だけだったから、どこかのタイミングで誰かとパーティーを組んでチーム戦をやると思ってた程度だけどね。
で、このパーティーでの模擬戦は他のクラスと合同でやるそうだ。新入生以外に今回の遠征初参加の先輩達も入っているんだってさ。
…これ相手や味方との連携次第では1組でも負けるな…どうやら自由に組んでいいみたいだし、可能なら後衛職の人と組もうかな。
訓練場に移動を始める時、そんな風に考えてると後ろから声を掛けられた。
「ねぇ、ライル君。この模擬戦では私とパーティーを組んでくれないかな?」
「エシャさんと?エシャさんと仲が良い女子は…あ、確か同じ後衛職になっちゃうのか」
「うん、私は杖で接近戦ができるとはいえ、基本は後衛職での戦闘だから、今回の模擬戦では前衛職の人と組んでやりたいの」
「そういうことなら俺からも是非お願い。誰と組もうか悩んでたから助かるよ」
「ありがとう、よろしくね」
お互い笑みを浮かべて握手する。
こうして俺はエシャさんとパーティーを組んだ。訓練場までの移動中に軽く打ち合わせしておこうか。
「それじゃあ移動中の今のうちに伝えておくよ。俺が使ってる槍は今武器屋に出してて、持ってない状態なんだ」
「え?それは大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。体術も使えるし、魔法で武器を作っていいならそれで槍を作るからね」
「あ、なるほど。そんな方法があるんだね」
「そう、それは後で先生に確認をとるからいいとして、どう立ち回るか簡単に決めておこう…というか2人パーティーで模擬戦をやるってことでいい?」
「うん、大丈夫だよ。立ち回りはね…」
エシャさんと移動中に決めた立ち回りはこんな感じ。
①相手が2人以下の時は互いに1人ずつ相手をして、余裕があれば魔法で援護攻撃。
どちらか先に相手を倒したら2対1で戦い、早めに戦闘を終わらせる。
②相手が3人以上なら1人ずつ倒す。俺が風魔法とインパクトが使えるので牽制や距離を離したり、槍か体術で体勢を崩し、その間に1人を集中攻撃して気絶や場外を狙い、近付かれたらまた俺が対応する。
人数が減って2人になったら①の立ち回りで動く。
「基本はこんな感じかな?」
「そうだね。何かあればお互いにフォローするとして、相手の役職次第では立ち回りも変えないといけないだろうから、そこは訓練場に入ってからまた話そうか」
「なんかあっという間だったね。それじゃあ、ライル君、改めてよろしくね」
「うん、エシャさん、俺こそ今日はよろしくね」
戦いの基本的な立ち回りを決めた俺とエシャさんは、他のクラスメイト達と共に訓練場に入った。
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