第24話
朝、テントの中で目が覚めた。今日は朝から森の深部まで行ってオークの巣を探す。
オークの上位種は間違いなくいるだろう。上位種のジェネラルはCランク相当の強さになるから、戦闘は昨日以上に注意しなきゃいけない。
テントから出て朝食の準備をする。昨日と食材は同じだけど、少し味付けを変えて作り食べた。あ、今日は着火を使ったよ。
巣の状態にもよるけど、着火で巣とオークを焼いてもいいかもしれない。
朝食と片付けを終えて荷物をまとめ、再び森へ入り、道中の魔物は無視してまっすぐ深部まで進む。
深部まで行くと時間帯のこともあり、昨日より見えやすくなってる。周囲気配を探り、数が多い方へ進んでいく。
深部は魔物を狩りながら進む、防具をしたオークばっかだったよ。15体は倒したね。耳と武器だけ回収してる。
立て続けに同じのと遭遇するってことは近くに拠点か巣がある可能性が高い。どこかにひらけた場所があるはずなんだけど……あっちか。
俺はそっと木に登り、高い位置からひらけた場所に近付き確認する。小規模だけど当たりだね。
外にいるオークの数はざっと数えただけでも20はいる。巣の中には同じかそれ以上のオークもいるだろう。
上位種は…奥にいるオークが防具に兜…ジェネラルだな。隣にローブを着てるマジシャンもいるか。
正面からは…いけるけど時間が掛かるし面倒なだけだな。まずはオークと巣を一掃してからジェネラルとマジシャン、討ち漏らしを潰す!
俺は魔力を瞬時に溜め、狙いを定めて巣の全体に雷を落とす。
ライトニング30連
発動した瞬間_雷が落ちて巣は壊れ、外にいたオークはピンポイントで雷に打たれ絶命していく。
火災になって森に広がらないようアイスウォールで壁を作り、同時にオークが逃げられないようにもした。
ライトニングが終わると同時に身体強化を発動して巣に入る……外にいたオークの討ち漏らしはないな。
そのままジェネラルとマジシャンのいた場所まで移動すると、その2体とひとまわり大きいジェネラル、リーダー格がいた。
リーダー格が俺を発見し、大きく吠える。それを聞いて巣の中で生きていたオークが出てきたが、10体程度だったので風魔法で同時に首を切り落とす。
リーダー格は驚くが、すぐに俺を睨んできた。
これで残りは上位種の3体だ。
ジェネラルが大剣を構えて迫ってくる。
マジシャンが詠唱を始めているので、風魔法で首を切り落として倒し、まずはジェネラルに集中する。
ジェネラルが大剣を薙ぎ払ってきたので姿勢を低くして避けながら近付き、槍で足を突き刺す。
ジェネラルがひるんで前屈みになったから兜の隙間の顔に槍を突き刺して倒した…殺気!
即座に前転して離れると後ろで音が、確認するとリーダー格が剣を振り下ろしたのか、剣が地面に刺さっていた。
リーダー格は地面から剣を抜きながら接近してきたので、俺は応戦するように槍を構える。
リーダー格が剣を振り上げてきたら合わせるように槍を剣に当てて軌道を変え、振り下ろしも同じ様に軌道を変える。
その打ち合いを10回ほどやり、力量も分かったので俺は動きを変えて剣を打ち上げ、防具の隙間の首に槍を突き刺し、一気に払って首を切り落とした。
解体する前にオークの生き残りがいないか確認………いなかったので、ジェネラル2体とマジシャンは凍らせたらそのまま収納袋に入れ、オークと武器をまとめたら耳と武器を回収して残りのオークと巣を着火を使い燃やす。
焦げ臭くなってきたので風魔法で臭いを上空へ飛ばし、燃えてる間に荷物の整理と槍と解体ナイフの手入れも終わらせておく。
森にいたオークが戻ってくる気配はないし、ここに住んでた奴らはほぼ全滅させたとみていいだろう。ここ周辺のオークの出現率は減るだろうね。
ようやくオークと巣が燃えきったので、最後に雷魔法で消し炭にし、俺はアイスウォールを解除してここを離れた。
…あ!インパクトも試しておけばよかった…実戦で試すのはまた今度だな。
時間はお昼頃、俺はそのまま森を出て王都へ戻ってきた。学校ギルドに行くと、少し前に対応してくれた話しやすい受付嬢さんがいたので、その列に並ぶ。
「こんにちは、ライル君。これから依頼…じゃなくて報告かしら?」
「こんにちは、受付嬢さん。はい、昨日から王都近くの森へ行ってましたよ。まずは受けてたオーク討伐の報告からですね。これが討伐証明の耳が入った袋になります」
そう言って袋を見せると、受付嬢さんはちょっとびっくりした顔をした。
「こちらは数の確認のためお預かりします…昨日今日でこの袋の大きさ。なんとなく予想できたけど、他には?」
「依頼は受けてませんが、フォレストウルフやゴブリンですね。あと森の深部の浅い場所でオークの巣を発見したので、壊滅させました。上位種が3体しかいなかったので、まだ作られたばかりだったのでしょう」
巣という言葉を聞いて、近くの生徒や受付嬢さんがざわつき、こちらを見てくる。
「…よし、ライル君!素材も多いみたいだし、違う所で詳しい話を聴きましょうか!」
受付嬢さんについていき、学校ギルドの解体所まで移動した。
「それじゃあライル君。今回森で手に入れた素材とかをここに出してもらえる?」
「わかりました。先に大きいのから順に出していきますね」
「お願いね」
そして俺は収納袋から、最初にオーク上位種3体丸ごと、フォレストボアの牙と毛皮と肉を4つずつ、フォレストウルフの牙と毛皮を14ずつ、ゴブリンの耳を6つ、薬草を入れた袋を1つ出した。
「ジェネラル2体とマジシャン1体、顔を刺したり、首を切り落として討伐か…」
「毛皮の状態がかなりいいな。傷もないし、これなら高くなるぞ」
「肉と耳は凍ってるぞ!腐ってないから状態もいいし、耳から悪臭しないから助かる!」
「肉と耳、牙は種類ごとに袋で分けてあるし、薬草も同じ高さで揃えてあるから、数量も確認しやすいわ」
解体の人や数量の計算をする職員さんがそれぞれ確認と感想を言っている。
「…かなり手慣れてるわね。オークの巣は壊滅させたと言っていたけど、討伐後はどう処理したの?」
「生活魔法の着火でオークと巣の残骸をまとめて燃やしました。最後に雷魔法で消し炭にもしたので、しばらくは巣や拠点に使われることもないと思います。あ、オーク達が使ってた武器はどうします?」
「それなら大丈夫そうね…あと武器も査定するわ。だから武器はあっちに出してくれる?」
「わかりました」
俺は受付嬢さんから言われた場所にオーク達が使っていた武器を並べる。
「ありがとう。これだけあれば訓練用に作り直してまた使うこともできるわ。それで、報酬の話になるんだけど…」
受付嬢さんからは壊滅させたオークの巣の確認と調査をしたいから報酬は後日になるとのこと。その時に今回出した素材と合わせて報酬を渡したいと言っていたので、俺は了承した。
その後は学校ギルドを出て寮に戻り、寮長さんに戻ってきたことを伝え、自分の部屋で遅めの昼食を食べて荷物を整理してからゆっくり過ごした。
入学して7日経った。朝か昼過ぎの授業がなければ、空いた時間に王都内の依頼か鍛練や練習をして、休みの日は今回のように外で実戦、というのが今の基本的な流れになっていくだろうね。
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