第22話
「それじゃあ、改めて精霊の授業を始める」
エルフの男性、アーシュ先生が仕切り直す。
まず精霊は人種や動物、魔物とも違う存在で、俺達が見えなくても世界各地のいろんな場所で生きていて過ごしているとのこと。
俺の故郷や樹海、長旅途中の街でも見たし王都にもいたよね。
そして精霊は基本様々な属性を司っていて、強く、大きな存在ほど影響力が強いらしい。姿も様々で、フリージアさんやシルフのような人の姿だったり、動物の姿とかもいるそうだ。
火・水・土・風・氷・雷・光・闇…俺が知ってる属性はこの8つだけど…無属性も入るのか?
「いいところに気付いたわね。無属性の精霊もいるわよ。それ以外にも他の属性の精霊もいるからね」
無属性以外にも俺が知らない属性の精霊もいるらしい。教えてくれたのはエルフの女性、アーシア先生だ。ついでにいうとアーシュ先生と姉弟なんだってさ。
精霊の存在を認識できないと意思疎通はもちろん、触れることもできないというのは驚いた。
精霊は確かに存在してるけど、見ることも触ることもできないから、基本側にいてもわからないし、知る機会もなく、意識することもないと…
だから俺の場合は風の精霊としか交流できないってことだね。
「わたしを含めて多くの精霊はマイペースだけど好奇心が高くてね、ライル君のように精霊が見えて仲良くなれる人は興味の対象になりやすいの。もしかしたら上位以上の精霊が姿を現してくれるかもね♪」
フリージアさんがこんなことを言った。
ここはシルフが言っていた通りみたいだね。見えない精霊に関しては、精霊から興味を持って来てくれないと話す機会も仲良くなれる機会もないみたいだ。
「…ん?フリージアさん、上位の精霊って何?」
「む、そこは俺から説明しよう」
「じゃあわたしとアーシアちゃんで補足しようか」
「わかりました」
精霊にはその存在や強さ、役割によって地位というか格付けみたいなのがあるらしく、それらは5つに分かれているとのこと。
◯下位精霊
生まれたばかりや自我の持ちはじめ、能力や知能も低くて弱く、力のコントロールもまだできない・できはじめた精霊。
基本集団で同じ場所にいるか、他の属性精霊と遊びよく動き回る。
俺が今まで見てきた精霊はこの下位精霊になるみたいだね。
そして、動きで意思を伝えることはできるが、まだ話すことができない。
精神年齢を人で例えると赤ん坊から子供くらいだそうだ。
◯中位精霊
自我を持ち、下位精霊より数段能力、知能も高くなり、力のコントロールもできるようになった精霊。
自分の意志で行動するようになったことで、様々な個性を持つ精霊も出てくるそうだ。
中位精霊になると喋るか、念話で会話できるようになり、意思疎通がしやすくなる。
そうなると、俺が最初に友達になった風の精霊は下位精霊から中位精霊になったのだろう。ずっと話せなかったけど、成長?した時、別れ際に話すことができたからね。
人で例えると子供から大人くらいになるみたい。
◯上位精霊
中位精霊より更に数段能力、知能が高くなった精霊。
ここから役割を持つようになり、下位精霊を見守る、精霊の住む地域を護る、というような守護的なものが多いらしい。
その役割はずっとではなく、一定期間ごとに交代して役割を担うそうだ。
フリージアさん曰く、基本精霊はマイペースで自由だからずっと縛られるのはイヤ!だってさ。
そのフリージアさんが上位精霊で、今は他の上位精霊と協力して王都周囲の下位精霊を見守ってるということだ。
上位精霊になると精霊が見えない人に姿を見せたり、精霊が見える人には姿を消して見えなくしたりできるようになるとのこと。
エルフの先生が最初フリージアさんが見えなかった理由がこれだね。
下位精霊を連れてたシルフは上位精霊以上で確定だな…
◯最上位精霊
上位精霊よりも更に数段能力が高くなった精霊。
上位精霊をまとめ上げたり、更に上の精霊の補佐役も担うようになり、上位精霊よりも更に広い範囲を見ているそうだ。
重要な役割を持っているからか、自由に行動してる時は姿を消して見えなくしてるのか、会える機会がかなり少ないそうで、エルフの先生2人とも最上位精霊とは100年で2度しか会ったことがないらしい。
フリージアさんは問題があった時や報告の時、交代する時に何度も会っているみたい。役割がない自由な時では確かにあまり会わないわね〜、とも言っていた。
◯大精霊
各属性精霊の頂点に立つ存在。
この世界の最強種とも呼ばれるドラゴンと同等か、それ以上の強さ・影響力を持っているらしい。
大精霊がいる場所はほぼ不明で、世界の精霊を見てるとか、精霊にとって重要な場所を守っているのではと言われているらしい。
唯一大精霊がいるとわかっている場所は、エルフの国の近くにある精霊樹と呼ばれる大樹に大精霊がおり、そこを中心に大森林とそこの環境を見守っているそうだ。時々他の大精霊も来てるのでは?と噂されている。
もうひとつは精霊の住む場所で精霊界と呼ばれ、そこは精霊に認められた者しか行くことができないらしい。
らしいばかりなのは、とにかく会う機会がほとんどないとのこと。フリージアさんでも風の大精霊とはほとんど会ったことがないそうだ。
名前はシルフじゃなかったよ。どうやら大精霊も同じ属性の中で何人かいるみたいだね。
聞いてみると大精霊も各属性ごとに数人いて、一定期間ごとに役割を交代をしているそうなので、今の体制は昔からみたいだね。マイペースや自由という根本的なものは変わらないのかもしれない。
「精霊についてはこんなところだな。他に何か聞きたいことはあるか?」
「それじゃあ精霊との契約について、俺が今聞いてもいいことはありますか?」
「…それは誰から聞いたの?」
「小さい頃友達になった風の精霊からですね。大きくなったら調べるように言われてるんです」
「おお!もう風の精霊から認められてるんだね♪ 嘘じゃないみたいだし、わたしが少しだけ教えてあげる!」
フリージアさんが教えてくれた内容は、現在役割を担っていない精霊のみが契約でき、契約すると離れていても会話できたり、呼び出して召喚ができるようになるそうだ。
残念ながら契約の方法については教えてくれなかった…今回わかったことは、シルフと会った時は風の精霊の様子を見に来たって言ってたし、役割を持ってる時に出会ったということかな?
あと担当してる場所から召喚して離れさせるっていうのを防ぐためかな…役割のない自由な時しか精霊は契約しないんだと思う。
ようやく契約について一歩進めたぞ!
精霊についての授業はこの1回目で終わり…なんで⁉︎ と思ったらどうやら数回に分けて話すつもりが、フリージアさんからの詳しい説明もあり、全部話してしまったそうだ。
アーシア先生からは風の精霊と契約したいなら、風魔法の実力を上げていくように言われた。これはシルフにも言われたことだね。
授業時間が空いた分、外の依頼を受けて鍛えるのもありかな…
精霊に関して気になることがあったら聞きに来てもいいと言われたから、何かあれば聞きに行こう。
こうして早くも1回で精霊の授業は終わり、フリージアさんとも今日は別れて終わったのだった。
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