第18話

「はい、これがライル君の選択授業30日分ね」

「ありがとうございます」


 翌日の朝、今日は自分の選択した授業の時間割一覧が配られる日だ。


 俺はグレイシア先生からその一覧を受け取り、席に戻る。全員に配り終えたのか、グレイシア先生は手を叩いて注目させる。


「さて、選択授業も気になると思うが話を聞いてね。これから60日後、君達には先輩達とパーティーを組んで遠征…そして野営の実習をしてもらう」


 その言葉に生徒はざわつく。けっこう先だなと思ったけど、2回目の選択授業が終わるタイミングでやるから、ちょうどいいのかな?



 グレイシア先生が言うには、まずこの遠征は冒険者ランクD以上の実力者が対象だそうだ。

 まだ基盤のできてない訓練中の生徒や冒険者ランクE以下の生徒は対象外。


 遠征の目的は先輩達との交流と、護衛依頼など別のパーティーと合同でやる時に備えての予行練習みたいなものらしい。

 あとはグレイシア先生が言っていた通り、実際に野外で野営の準備と野宿をして1人…最初だし先輩達と協力してできるように、という感じかな。


 俺は故郷の隣にある樹海で数日野営をして魔物と戦闘したり、王都までの長旅で何度も経験したから大丈夫だと思うけど、王都に来てからはやってないから、確認は必要だね。


 パーティーを組む先輩達との顔合わせは30日後、最初の選択授業の期間が終わってからになる。

 それまでに選択授業の魔法を習得…できたらして、最低限は使えるようにしないとな!



 ちなみに俺が選択した授業はこんな感じ。


 ①生活魔法:習得難易度・低

 魔力があればほとんどの人が覚えられる。クリーン、飲み水生成などがあるため、旅をするなら特に覚えておきたい魔法だ。


 ②回復魔法:習得難易度・中〜高

 素質や適性で習得難易度が変わる。他の魔法よりも難易度が高いが、何度も練習すれば覚えられる可能性がある。しかし、適性がないと使えないとも言われている。


 ③属性魔法:習得難易度・低〜高

 素質や適性で習得難易度が大きく変わる。最初に適性検査があるから選んだ授業で、他の適性がゼロか、低ければその時間で風、氷、雷魔法を鍛える時間にする予定。


 ④無属性魔法:習得難易度・低〜高

 種類によるが、練習次第では多くの人が覚えられる可能性の高い魔法。身体強化が無属性魔法に入り、代表的なものとして知られている。中には属性を付与して発動させることも可能で、その属性に応じて強化されたり、追加効果が発生するようになる。


(例:身体強化に風属性を付与して殴ると、同時に切り裂いたり、より大きく吹き飛ばしたりできるようになる)


 ⑤

 あれば絶対受けようと思ってた授業。風の精霊とは友達になってよく遊んでたけど、精霊については詳しく知らないんだよね。それと授業で契約についての情報やヒントがあれば嬉しいんだけど…



 選択したのはこの5つ。武器関連の授業は俺の場合槍と体術、剣術を既に使えるからとってない。


 今日はこの後に早速生活魔法の授業があるので、その教室まで移動した。



 …はい、生活魔法はすんなり習得できました。


 長旅で女魔法使いさん達の生活魔法を間近で見てたのが大きいと思う。野営や料理の手伝いの時だね。

 自前の火打ち石で火を起こした時は護衛の人達に驚かれたな〜。


 生活魔法の先生から発動の仕方の説明を聞いて、その時のことを思い浮かべて発動してみたらね…着火、飲み水生成、クリーン、照明、どれも1発で成功しました。


 何度か試したけど、調整もできるのはありがたいね!確かにこれは使いやすすぎて、火起こしや水を探す必要もなくなるよ…


 先生にも確認してもらい、無事合格!これほど使えるようになったなら、次回は最初に使えるか見せてくれたら、それ以降は参加しなくてもいいね。と言われた。


 他にも俺と同じように使えるようになった生徒は合格をもらい、生活魔法の授業は半日で終わった。



 昼食後、次は属性魔法の授業で広い教室に行くと生徒が多かった。空いてる窓側の席に座って待っていると3人ほど先生が…そのうちの1人はグレイシア先生じゃん!


 属性魔法の授業は人数が多く、最初に適性確認があるので、3グループに分かれて確認するそうだ。

 とりあえず確認してもらうだけだし、前にいる男性の先生でいいかな、と思ってたらグレイシア先生が一歩前に出て喋り出した。


「これから名前を呼ばれた子は私のグループに入ってもらうよ。教室から移動するから、呼ばれたら荷物をまとめておいてね」


 それからグレイシア先生は名前を呼び始めた。その途中に俺も呼ばれたので荷物をまとめておく。


 これ、魔法の適性が高い人や、既にレベルが高い人が呼ばれてる?もっと広い場所に移動しそうだね。



 呼び終わった後、俺達グレイシア先生のグループは移動を始めた。

 さて、どこで確認をするのかな?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る