第17話
「それじゃあ、授業について説明していくよー」
寮の部屋が決まった翌日の朝、寮から登校してグレイシア先生から授業についての説明を聞く。
1組は読み書き計算ができて、既に実力の認められているクラスなので、訓練や読み書き、計算の授業は自由参加になっている。
なので俺のクラスの場合、選択授業が基本となっていて、自分の習いたい技術や魔法、知識を選択して学べるようになっているそうだ。
ちなみに選択授業は30日経ったらまた選ぶみたい。
ただし、冒険者登録をまだしていない生徒は説明会と授業の参加が必須となっているため、注意するようにと言われた。
これは俺のように仮冒険者として活動してる人は最初登録した頃と同じ説明になるから自由参加だってさ。
俺は選択授業の一覧が書かれている紙を受け取り、習いたいと思ってた授業、気になった授業を記入してグレイシア先生に渡した。
「お、早いね?…どれどれ、ライル君の選んだ授業はー?…ほー、これはまた珍しいのも選んだね。これとか、習得できるかは保証できないよ?」
「そこは適性にもよるでしょうから、確かめたい、というのが強いですね。習得できなくても、知識として覚えておくのはいいですよね?」
「もちろん。知識があれば、どこかで役に立つことがあるかもしれないからねー。選択授業の時間割は明日伝えるよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
自分の席に戻って荷物をまとめる。残りの授業は自由参加の読み書き計算だから、今日はこれで終わり。この後は学校ギルドにでも行ってみるかな…
「あの、ライル君」
「うん?どうしたの?エシャさん」
名前を呼ばれたので、返事をして振り返る。俺を呼んだのは後ろの席のエシャさんという女子だ。
エシャさんは回復魔法が使える子で、接近戦は杖術を使うらしい。
「ライル君はどんな授業を選んだの?」
「選択授業?俺は習得してない魔法とかを選んだよ」
「え?その魔法は覚えられるの?」
「それを確かめるために選んだんだ。適性がなくて使えなくても、どんな魔法なのか気になってたから、授業で聞きたいと思ったんだよ」
「あ、なるほど」
「だから最初は気になる授業や確かめたい授業も選んで参加してみるといいよ。選択授業は30日経ったらまた選び直すみたいだし」
「あ、そういうこともできるんだ。ありがとう、ライル君。わたし、もう少し考えてみるよ」
「うん、それじゃ俺は行くね」
そう言って一覧とにらめっこするエシャさん。参考になったみたいでよかったよ。
この選択授業のいいところは30日ごとに選び直せることだ。
自分に合わなかったり、魔法なら適性がなかったり、先生から一定以上のレベルだと認められたりと、理由は色々あるけど、授業を受ける必要がなくなった時にそのタイミングでやめられるのがいいね。
時間はまだお昼前。学校ギルドに入り、依頼を確認…お、これからとお昼後からの運搬依頼があるね。その依頼を取り、受付まで持っていく。
「ようこそ、学校の冒険者ギルドへ…君は、はじめて見る顔ね。新入生ですか?」
「はい、今日は運搬依頼を受けにきました。あと冒険者カードです」
「はい…あら?Cランク…君、ライル君が噂のCランクの新入生ね」
「あー…入学試験の時に騒がれてバレましたね。まぁ、絡んできたりとか、俺に影響がないならいいです」
「絡まれるのは覚悟しといた方がいいわよ?その入学試験では注目される結果も残したのでしょうし。それと、依頼を受領しました。これが依頼先の案内図になります」
「ありがとうございます。最初に実力は見せないとこうして動けませんからね。では、いってきます」
「確かにそれもそうね。はい、いってらっしゃい」
対応してくれた受付嬢さんはいい人だな。話しやすくて助かる。
俺は依頼を受け、外に出ようとしたところで声をかけられた。
「お前がCランクの新入生だな?話があるからオレについてこい!」
「依頼を受けたので無理です。それに相手の都合も考えない奴の話を聞く気もないので、もう声をかけてこないで下さい」
「…へ?」
俺は立ち止まらず拒否して通り過ぎ、外に出る。その男子生徒は予想外の返答だったのかポカーンとしてたな。
そのやりとりを見てた人達は笑いを堪えるかのように肩を震わせてたね。
依頼はどちらも特に問題なく終わったよ。重い荷物もあったから心配されてたみたいけど、難なく運んでたら驚かれた。
夕方、学校ギルドへ戻ったらお昼前に対応してくれた受付嬢さんがいたので報告を済ませた。
「はい、お疲れ様でした。こちらが報酬になります。…いやぁ、お昼前の言動には驚いたわ。あの子、肩を落として出ていったわよ?」
「ありがとうございます。いや、あんな誘い方相手にするわけないじゃないですか。王都に限らず、他の冒険者ギルドであれを続けたら最悪孤立しますよ?」
「あ、わかるんだ?学校のギルドで依頼を受けてる間は、自分で気付いてもらうか、私達や先生に尋ねてきたら教えるって形で今は様子見ね。だからライル君のあの対応はナイスよ!」
あまりに酷いと大人組が動くから気にする必要はないわ。と、受付嬢さんは言っていた。
まぁ、把握して対応できるようにはしてるよね。
俺は受付嬢さんから報酬を受け取り、宿の食堂で夕食を食べ、大浴場でさっぱりしてから寝た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。