第8話
「おぉー…でっかい壁だなぁ」
王都に到着した俺達の馬車は、現在検問待ちで並んでいる。なので子供組は馬車の上に移動したり御者さんの隣に座って、その高い壁を興奮しながら眺めていた。
もう少しで順番になると聞いた子供組はそれぞれの馬車に戻り、男戦士さんから王都に入ったらそのまま冒険者学校へ行くと教えてくれた。
俺達を学校へ送り届けたら依頼は終了、お別れだと言っていた。
そうして検問が終わり王都に入った子供組は王都の大きさ、広さを見て驚愕していた。自分の住んでる場所との規模が違いすぎる!
驚愕し興奮しながらも進んでいった馬車は、大きな門のある場所で止まった。ここが冒険者学校の入り口らしい。
門が開くと馬車は動き出し、少し進むと建物の前で止まった。学校内にある冒険者ギルドのようだ。
馬車から荷物を持って降りると、そこには50代くらいの男性がいて、俺達を出迎えていた。
「ようこそ王都冒険者学校へ。俺はこの学校の理事長、ガーランドだ。わざわざ遠い地方からこの学校を選び、来てくれたことに感謝する!冒険者学校は君達を歓迎するぞ‼︎」
そう言ってガッハッハと豪快に笑う理事長…理事長⁉︎確か1番偉い人じゃん!
…ん?理事長のセリフにちょっと気になったことがあるので聞いてみた。
「ん?どうした?」
「あの、歓迎する。ということは試験はあるけど、入学は確定ってことですか?」
「お、もう気付いた子がいたか!そうだ。ここを選んで来てくれた君達を帰すなんてしないぞ!」
「「「「「えぇ〜〜〜!?」」」」」
「…なるほど、ということは入学試験はクラス分けの為にやるんですね?」
「これにも気付くか!そういうことだな!今年もなかなかの逸材が来たもんだ!」
理事長の笑い声と子供達の叫び声が響いた。俺は叫んでないよ?驚いたけど。
入学試験は勉学と現在の強さの確認が目的かな?戦えない子だっているし。教える内容だってその分変わるだろう。クラス分けは同じくらいの実力者が集まるようになるだろうね。
「入学試験は5日後だ。それまで休むのもよし、散策するのもよし、鍛練するのもよし、既に仮冒険者になってる子はギルドで依頼を受けるのもいいだろう!」
依頼を受けるのはいいが、試験には遅れるなよー。と最後にそう言って理事長は去っていった。
さて、試験までは色々できるな。さすがに疲れも溜まっているので、少なくとも今日はゆっくりするとして…
案内の人が来る前に俺はお世話になった男剣士さん、女魔法使いさん、男戦士さん、女斥候さん、御者さんにお礼と挨拶をした。
「辺境の町からここまでお世話になりました。ありがとうございました!」
「ああ、あれ以降模擬戦は出来なかったのが残念だが、お前さんとの旅は楽しかったぜ!」
「私達も君にはお世話になったわね。私達のクランは王都を拠点にしてるから、また会った時は一緒にご飯でも食べましょ」
「こちらこそありがとう。いい返事を貰えなかったのは残念だけど、何か依頼で一緒になった時はまたよろしくね」
「…君のおかげで私達はいつもより余裕を持って動けたわ。子供達を見てくれてありがとう。またご飯食べさせて」
「君が馬の世話を手伝ってくれたから、私もゆっくり休める時ができたよ。ありがとう」
そうお礼を言い合い握手をした後、護衛の人達と御者さん達と別れた。男戦士さんが残念と言ってるのはクラン勧誘の件だね。
光栄ではあるけど、俺は世界を旅することとシルフとの約束があるため、丁重にお断りした。
男剣士さんの言う通り、模擬戦はできなかった。よくて朝身体を動かすために軽く打ち合ったくらいだったね。
女魔法使いさんが王都を拠点にしていると言っていたので、ギルドとかでまた再会する可能性もあるだろう。
女斥候さんには残りのクッキーを全部あげたら喜んでたよ。
その後すぐに案内の人が来たので、学校のすぐ近くにある宿に連れていってもらい、俺達子供組も解散して別れた。
明日からは俺だけで行動するようになる。宿にはお風呂もあったので、ゆっくりしてから寝た。
入学試験まであと4日。
朝起きて宿の1階まで降りると、案内の人が待機していたので話を聞いた。
入学試験前でも学校には入れるそうで、校内や寮とかはダメだが、訓練場と学校内にある冒険者ギルドは利用・見学できると教えてくれた。
朝の鍛練を終わらせた俺は、まず学校にある訓練場と冒険者ギルドを確認するため、必要な荷物だけを持って学校へ向かった。
その際に案内の人から許可証を受け取ったので、首に下げておいた。
冒険者学校まで行くと、先生らしき人がおり、許可証を確認するとすんなり通してもらえたよ。
さて、訓練場と学校のギルドはどんな感じかな?
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