第143話 君を助けに その1
恐らく、千絵理を連れ去って行ったのはさっきのHRで広瀬先生が言っていた『アウトランダー』だ。
後田さんの話によると、確か公民館の南にある倉庫をたまり場にしてるって言ってたけど……。
(助けに行かなくちゃ……!)
俺は即座に文芸部に宛ててメールを打つ。
"すみません、今日の歓迎会行けないかもしれません!"
とりあえずそれだけを伝えると丁度、吉野先輩からも文芸部宛てにメールが来ていた。
"すまぬ、拙者緊急の出陣により遅れるでござる! すぐにカタをつけるゆえ!"
どうやら吉野先輩も遅れるらしい。
歓迎会は後日になるだろう。
せっかく来ていただいた高嶺先輩には次の機会に誠心誠意謝ろう。
俺は千絵理が連れ去られる所を見たという、その女生徒に伝える。
「君はその間に先生と警察に通報して! 俺はその間に助けに行くから」
「えっ!? あっ、危ないよ! 警察に任せた方が――」
「大丈夫、それに俺は千絵理に約束したんだ」
俺はその子に笑顔を向ける。
「"必ず俺が助けに行く"って」
「……! わ、分かった! 気を付けてね!」
「うん、ありがとう」
顔を真っ赤にしたその子に通報は任せて、俺は公民館の南にある倉庫を目指して走り出した。
◇◇◇
(ここか……『アウトランダー』のたまり場にしているって倉庫は)
どうやら廃倉庫のようだった。
車をいくつか追い抜かすほどのスピードで走ってきたけど、千絵理がここに連れ去られたのだとしたらすでに連れ込まれてしまっているだろう。
その廃倉庫の前には一人の男が背を向けて立っていた。
俺が来たことに気が付くと、男は俺に向き合う。
「……悪いが、俺は猛烈に怒っている。手加減はできねぇぞ?」
髪を後ろでまとめ上げたストリート系のその男は額に血管を浮かべて俺を睨んだ。
俺と同じ辻堂高校の制服を着ている。
(こいつが『アウトランダー』の組員か……喧嘩なんてしたことないけど……)
俺は両手で拳を握って、目の前で構える。
(こいつらが千絵理をさらったなら、容赦はしない……!)
「怒ってるのは俺も同じだ」
「その構え、素人か……まぁそれでも手加減はできない。それに今日は大切な予定があるからな、速攻でケリをつけさせてもらう」
そう言うと、その男は鋭いステップを踏みながら俺に殴り掛かってきた。
――――――――――――――
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