第141話 山本君の青春リベンジ!
「あはは、どうも~」
過剰な煽りをうけつつ、俺はこそこそと皆さんの前に出る。
こういうのはスッと前に出てさっさとガッカリさせた方が俺もみんなも傷は浅く済むだろう。
しかし、それでもダメだったのだろうか。
俺が前に出た瞬間、クラス中が静まり返ってしまった。
(そ、そんなにショックだったの……!?)
変に期待値を上げられたせいで絶句されている。
しかし、よく見るとその瞳に落胆の色は見えなかった。
どちらかというと、驚いているような……。
それでいて、頬を赤らめている……。
さらに言うと、俺だけでなくそのすぐ隣も見ている気がする。
「おぉ、丁度
広瀬先生のそんな言葉に、俺は生徒たちの注目が集まっている自分のすぐ隣を見た。
幾度となく見てきた純白の白衣に身を包んだ制服姿の彼女がそこにはいた。
「今日からコイツと一緒に世話になる、柏木百合だ。よろしくな」
腕を組んで、さもここに居るのが当然かのように自己紹介をする彼女。
天才美少女医師の柏木さんがいつの間にか隣に立っていて、俺は驚愕した。
「か、柏木さん!? どうしてここに……しかも編入生って――」
「お前を一人で学校に行かせるなんて、ライオンの檻にうさぎを入れるようなモノだからな。すぐに食べられてしまう」
俺がこの学校でイジメられていた事を知っている柏木さんはそう言って、俺の肩を肘で小突く。
制服の上から白衣を着た美少女が編入してきたらそりゃみんなも驚愕するだろう。
クラス中が目を丸くして黙っているのを良いことに、柏木さんは話を続ける。
「さて、コイツと私はただならぬ関係でな。もしコイツに手を出したら……分かるな?」
柏木さんは俺がイジメに遭わないよう、早速クラス中に睨みを利かせた。
特に女生徒を睨んでいる気がする。
俺はこそこそと話しかけた。
「柏木さん、心配してもらえるのは嬉しいですが何も一緒に入学までしなくても……」
「患者のアフターフォローも医者の仕事だ。それに――」
柏木さんは言いながら、胸ポケットからラムネ・シガレットを取り出した。
「青春なんてモノに興味は無かったが、お前と一緒なら話は別だ。私だってまだ高校2年生だからな、今からでも遅すぎるなんてことはない」
そして、俺の口を塞ぐかのようにラムネ・シガレットを1本突っ込んで笑う。
「山本、リベンジをしよう。残りの学生生活でお前が今まで送ってきた散々な青春を全て取り返すんだ」
――こうして俺、山本の青春リベンジが始まったのだった。
――――――――――――――
【お知らせ】
まずは、投稿が遅れて本当にすみません…!
完全にメンタルがやられてました。
書籍の発売後は売れ行きが心配でこうなってしまうので気を付けます。
そして、書籍ですが……大変有難いことにかなり評判が良いです!
書籍でしか読めない話も多く、「なんでこれ本編に入れないの!?」というくらい満足して頂いている感想も多くいただきました。
特に柏木さんについては、書籍を読むとヒロインとしての魅力が100倍くらいになると思います!
ただ、本が売れているかというとそうではなく……書籍の続きが出せなければ当然この作品も打ち切りになってしまいますので、できれば紙の本でのご購入をお願いいたします(集英社ダッシュエックス文庫で770円です)
紙が無理な方はもちろん、電子でも大変嬉しいです…!
恐らく、今日か明日には書店さんからも姿を消してアマゾンなどの通販が中心になってしまうと思いますので、本屋さんで買っている方は急いで書店でお買い求めください!
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
こんな作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。<(_ _)>ペコッ
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