第140話 クラスメート達との再会
「――という訳でして。何とかリリアちゃんは一命をとりとめたんですが、俺が捕まることになっちゃって」
「……ぐすっ、ぐすっ」
俺がアメリカで救った小さな命の話をすると、広瀬先生はボロボロと泣き出した。
慌ててハンカチを差し出すと、小さな声でお礼を言いながらハンカチで目元を押さえる。
「すまない、私は勘違いをしていた……君は自分の事を犠牲にしてでもその子を救ったんだな」
「あはは、その時はただ夢中で……助けるために必死だっただけなんですけど」
「大丈夫だ! 先生たちには君の事情をしっかりと伝えておく! 実は私が去年この学校に着任する前にはイジメられている生徒が多かったみたいでな。私も少し神経質になっていたんだ」
広瀬先生はそう言いながら手元のティッシュで鼻をかんだ。
職員室を見回すと、俺はある異変に気が付く。
「あれ? 見覚えのある先生がほとんどいませんね」
俺が1年間海外に行っていたとはいえ、先生たちの顔ぶれは変わらないはずだ。
広瀬先生は出欠簿を見て俺の名前や席の場所を確認しながら語ってくれた。
「とあるお偉いさんがこの学校のイジメ問題の調査に本格的に乗り出したらしくてな。その結果イジメの問題を見て見ぬフリをしていた教師たちは他所へと飛ばされたらしい。私もその後の教員募集でここに来たというワケだ」
『とあるお偉いさん』……きっと、蓮司さんだろう。
確かに今まで俺がイジメられてても見て見ぬフリをしている先生たちばかりだった。
先生という仕事は大変だ、みんな遅くまで残業して授業以外のことも沢山やらなくちゃいけない。
だから俺も仕方がないと思っていたけれど……。
「全く、私もまだまだ未熟だな。山本、疑ってすまなかった」
「いえいえ、良いんですよ。どんな理由があるにせよ悪い事をして捕まっていたのは事実ですし」
やっぱりこうして真摯に向き合ってくれると嬉しい。
1年前も広瀬先生が居たならきっと俺のことを守ってくれていたのかもしれない。
「さて、今日編入してくる生徒はもう1人いるんだが……どうやら遅れてくるらしい。先に行こうか」
「はい!」
そういって、広瀬先生と一緒に廊下を歩く。
朝のHRのチャイムはすでに鳴り終わっていて、廊下には誰も立ち歩いていなかった。
「それじゃあ、山本はここで待っていてくれ」
そう言われて、2年1組の教室の前で俺は待つ。
広瀬先生が「出席取るぞー!」と言いながら教室に入ると、生徒たちの元気なガヤが聞こえてきた。
「広瀬せんせー! 目ぇ腫れてない~?」
「もしかして、また男にフラれたんですか~?」
「『また』ってなんだ!? フラれてないぞ!」
広瀬先生は藤咲さんよりもさらに若いくらいの年齢だと思う。
きっと生徒と歳が近いせいでからかわれやすいのだろう。
名前を読んで出欠を取り終えると、最後に広瀬先生はゴホンと咳ばらいをした。
「さて、今日は新入生が居る」
そう言うと、教室はワッと沸き上がった。
「男の子ですか!? 女の子ですか!?」
「とんでもない美少女だったりして~!」
「いやいや、きっと男の子だよ! イケメン希望!」
(と、とんでもなく入りづらい……)
俺が教室に入るとガッカリさせてしまうことは目に見えていた。
いや、でもきっと広瀬先生が気の利く一言で教室を落ち着かせてくれるだろう。
「ふふふ、楽しみにしておけ~」
「「おぉ~!」」
広瀬先生は落ち着かせるどころかさらに煽る。
これってイジメ問題じゃないですか?
逃げ出したい気持ちでいっぱいの俺だったが、観念して教室の扉を開けた。
――――――――――――――
【!!!!重大発表!!!!】
みなさま、大変お待たせしました!
本日、7月25日に『山本君の青春リベンジ!』というタイトルで本作の書籍の1巻が発売されました!
そして集英社のアプリ【ジャンプ+】ではコミカライズの第1話が読めます!
さらにさらに、声優の楠木ともり様が本作の柏木さん役でPVを撮ってくださいました!↓
『山本君の青春リベンジ!』(youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=0PtSTDG8Qrg
とんでもない人気声優さんに演じていただけて感無量です!
最高ですので、ぜひ見てください!
見ないと損しますよ!
書籍はもちろんwebで読める以上の加筆と特典などがありますので、本作が続いて欲しい方は770円のご寄付という名の購入をお願いいたします(紙で買っていただけると最高です!)
また投稿を再開していきたいので、書籍購入ともども本作の応援をよろしくお願いいたします!
<(_ _)>よろしくお願いしますっ!
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