第84話 頑張れリリアちゃん!
体育館でリリアちゃんのストレッチを手伝う。
今回の件を蓮司さんに伝えると、蓮司さんも凄く驚いて喜んでくれていた。
ちなみに蓮司さんは目の下をクマだらけにしてその日も研究に勤しんでいた。
また「働きすぎだ」ってリリアちゃんに馬鹿にされるから秘密にしてくれと言われたけれど。
リリアちゃんが自分から進んで運動をする分には問題ないそうだ。
むしろ、リリアちゃんにとっても良い事らしい。
ただし、条件が1つだけ。
『リリアちゃんからあまり目を離さない事』だ。
どういう意味かと尋ねると、急に転ぶこともあるからと説明された。
リリアちゃんは意外とドジっ子なのだろうか。
俺は早速、ストレッチを終えたリリアちゃんをじっと見つめる。
「"な、なによ……そんなに見つめて……"」
僅かに顔を赤らめながら、リリアちゃんが俺を訝し気な瞳で睨んできた。
困った、俺はこれから運動中はリリアちゃんから目を離さない必要がある。
しかし、正直に『蓮司さんにそうお願いされているから』と言うと、過保護だなんだとせっかくの気分を悪くしてしまうだろう。
苦し紛れに俺は一言。
「"体操着姿も可愛いなと思って"」
そう言うと、リリアちゃんの顔はみるみる真っ赤に染まった。
「"はぁぁ!? な、なに言ってるのよ! やっぱりあんたってロリコンなのね! 変態っ!"」
顔を背けて俺を罵倒する。
「"ま、まぁ、でも別に好きに見てて良いわよ? 私の運動に付き合ってくれてるわけだし……し、仕方なくよ!?"」
リリアちゃんは強がったような笑みで胸を張った。
こうして俺は、ロリコンになってしまった代わりに何とかリリアちゃんを見守る免罪符を手に入れることができた。
体操着姿が可愛いと思ったのは本心だし、まぁいいか。
「"じゃあ、早速バスケットボールを持ってみようか"」
俺がボールを手渡すと、リリアちゃんは重そうに持つ。
そして、自分の遥か頭上のバスケットのリングを見上げた。
「"……山本、付き合ってくれてありがとう。やっぱり私に運動は無理だったわ"」
「"ドリブル! ドリブルからやってみよう! シュートはまだ良いから!"」
リングの高さに絶望してしまったリリアちゃんをなんとか説得する。
諦めたらそこで試合終了だ。
「"私もスラムダンクとかしてみたかったんだけどなぁ……"」
漫画で知識だけは持っているリリアちゃんはため息を吐きながらドリブルをするためにバスケットボールを構えた。
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