第28話 満ち足りた想い ( 最終話 )
心の目を閉じると、視界にもシンクロしているように、目の前に迫る大画面に、空に存在している宝石のように美しく輝く、アンドロメダ星雲に似た星雲が映し出されていた。
その星雲を構成する美しい星の1つが、ロカや自分の故郷の星であるパサラミト星という事が、自然と認識出来るようになっていた小夜美。
(パサラミト星、私の故郷の星......既に、次元上昇を果たしているという、争い事の無い幸せな人々で溢れ返っているであろう進化した惑星。そのパサラミト星へと、私が戻る頃には、どのような星となっているのだろう? )
立ち止まり、いつもは気にも留めてなかったが、行き交う沢山の人々をぐるりと見渡した小夜美。
(地球上には、こんなにも沢山の人々がいるというのに、パサラミト星の事を知っているのは、私1人だけ......この美しく輝く星が、地球に似て自然が豊かで美しい星でありますように......)
小夜美は、沢山の行き交う人々がいる中で、自分は、その中にいるたった1人に過ぎないが、パサラミト星やロカの事を知っているのは、この地球上で、ただ自分1人だけという至福感に包まれていた。
自ずと微笑みが込み上げてくるせいか、そんな小夜美と視線が合うと、不審そうに感じる人々も見受けられた。
意識するとすぐに、人々の思考が、小夜美の頭に流れ込んで来る。
ロカもそんな状態で、小夜美に接していたのだと、今になって理解出来た。
(他の人達には、まだ分からないこの不思議な感覚。ロカとの交流によってもたらされた、私の新しく大切な感覚。これもまた、ロカと共有出来ているものなんだ......)
ロカと出逢う前までの自分とは、全く価値観も存在意義も異なって来ている事を実感させられていた。
今は、それで十分過ぎるくらいに思えていた。
それほどまでに、少し前までの何も知らなかった時の自分に比べ、心が満たされている事を感じさせられている小夜美。
サードアイチャクラが開いたせいも有るのかも知れないが、それだけではなく、ロカと出逢い、未知なる体験や自身の心がけにより、身体の細胞の一つ一つが本来の動きを取り戻したかのようだった。
もちろん、そのような状態になったからといって、小夜美1人の力で、この大きな地球という星を簡単に動かせるわけではない事くらいは、重々承知だった。
それでも、類は友を呼ぶという言葉が有るように、似た意識を持つ人間同士が繋がりやすくなる。
小夜美は、まずはこの先、同じような志を抱く者達と出逢いを求める事にした。
自分の生まれ育った、この美しく愛しい地球を自分達の手で、より良く生まれ変わらせたい!
次元上昇し、今や理想郷のようになっていると言われる故郷の星、パサラミト星。
そのパサラミト星に引けを取らないほど、地球もまた素晴らしい星に生まれ変わらせる事を目指そうと、硬く心に誓った小夜美。
そして、それを達成した暁には、小夜美は晴れて、故郷の星、パサラミト星へと戻る事になる。
ロカは、その時まで、小夜美を待ってくれている事だろうと願い、生まれ故郷の地球での思い出をロカと肩を並べ、笑顔で対等に語り合える日を夢見ながら。
【 完 】
300万光年彼方から溢れんばかりの愛を込めて ゆりえる @yurieru
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