第2話 好きということ

 自分の好きを語ること、その語りが否定されてしまうことが怖い。好きの対象を否定されることへの恐怖と好きの熱量を否定されることへの恐怖に、語りたいという気持ちは押し殺される。好きの対象にも、好きの気持ちにも、貴賤はないはずなのに、考えすぎの恐怖が頭から離れない。本当は、好きなことを幾らでも語りたい。好きだから、たくさん考えたから、言葉が溢れそうなんだ。それでも、幾ら言葉を紡いでも、”気持ち悪い”だけで、言の葉が踏みつけられてしまうこともある。だから今日も、考えすぎの言葉は隠して、”良い”だけで物事を語っている。

 

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迷い子の日記 nomad @hermit0827

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