迷い子の日記

nomad

第1話 独白

 何も掴めなかった...

 夢は、確かに持っていたはずなのに。積み重ねた年月と妥協が、僕を空っぽにする。僕は、擦り切れていく僕自身を無心を装い、眺めるだけだった。

 僕は今、虚空を掴んでいる。寂しくて、寂しくて、虚空を抱きしめている。世界中の空虚を集めたところで、僕の求める”何か”に昇華させることは叶わないのだろうけれど。

 何もないがそこにあったことを残すためだけの、そんな話を、誰かに...

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