E p i s o d e .10【三対一の決闘という名の最終審判】

「えぇい! くたばりやがれ!」


 奴はいくつもの魔法陣を出現させ、あちこちに大火事、大浸水を起こす。

 これは厄介だな。少し本気というか。


「お前ら、俺の後ろへ来い」


「あ、分かった!」


「……合点承知」


「行かせるかぁ!」


 俺は片腕を突き出し、時計の針を出現させる。


「これから五分間、審判といこうか。《審判ジャッチメント》」


 刹那、俺たちを囲うように悪魔、竜人、エルフ、巨人などといったいくつもの種族が姿を見せる。


「な、なんだここは……」


「俺の空間だ。さてとお前は一般市民を殺し、大災害を起こした。よってだ」


「それだけで死刑とかありえないだろ!」


「そうか? 言っておくが、俺はだ」


「は、審判者だ……と?」


 驚くこともないだろう。ずっと瞳の奥に『有』と『無』を浮かべていたんだ。それを見抜けないとか、古代人はどんな遺伝子を繋いできたんだ?


「ほら異端者、どう述べる?」


「あの質問なんですが……ノアくんって審判者なら、ですよね?」


「そうだな簡単に言えば」


「えっとつまり……あーえっと……」


 余程考えているようだな海凪は。それにずっと黙っているミルテナは、恐らく異端者だろう。まあ殺す気は無いし、放っておくか。


「デカゾンビ、死刑だからそこ立っててな」


「は?」


 俺は神の息吹という名の呼吸をすると、デカゾンビの首、足、手などあらゆる部位が灰となる。

 久しぶりに使ったが、これ使うと俺が下界に来ていることバレるんだよな。


 すると俺の助言通り、天啓が注ぎ込み、羽を生やした種族――神が数人姿を現す。


「ようやく見つけましたよ、ノアくん」


「わぁ! これが崇拝されるノア様だぁ!」


「お父さんがお呼びですよ?」


「分かった。じゃな海凪、ミルテナ。楽しかったわ」


 もう少しここに居たかったが、仕方がない。こうしないと異端者を有罪に出来ないのだから。それになんで俺の迎えだけ、女ばっかなんだ?


「言っちゃったね……告白しとけばよかったな」


「……神様に告白するとか、正気の沙汰でない。諦めろ」


「酷いよミルテナ! 最初会った時からずっと好きだったんだよ! わざわざ一人のところを狙ってまでして行ったんだよ!」


 念の為、確認しておこう。ノアが入学式当日あったスーツ姿の女はこいつだ。


「ああもう! !!」


――――――――――――――――――――


 これで最終回となります。

 ご覧くださり、誠にありがとうございました!


今現在進行形で新しい物語も作っておりますので、楽しみにしていてください!

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無《ゼロ》の審判を下すとき 覡のおやすみ @atenasan

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