エピローグ 〝あいしてる〟の彼方
それは近くて遠い未来の話。
森の奥深くにある塔の前の広場で。
ふたりの
「そろそろご飯にしましょうか」
そんな一言に、ふたりは嬉しそうに笑顔を浮かべて。
あたしのもとに小さな歩幅で駆け寄ってくる。
『あたし、おかあさんのごはん、すきー』
『ぼくのほうがすきだしっ!』
そんなことを言い合うふたりのことを、あたしはきゅうと抱きしめる。
男の子はあたしと同じ黒髪で、女の子の方は
『ねえねえ』
『おとうさんはー?』
ふたりが指を
「そうね、そろそろ帰ってくる頃――あ、噂をすれば、ほら」
その人はやってきた。
あたしたちがいるこの場所に。
白馬とは
『――、――――、――』
彼は小さくなにかをあたしたちに向けて言った。
その姿は太陽を背にして逆光になっている。
表情は見えないけれど――その顔は、どんな時でも王子様みたいに整っているのだ。
『おとうさーん!』
『おかえりー!』
子どもたちがその人に向かって駆けて行った。
彼はふたりをあたしがしたみたいに抱きしめ、それぞれで色違いの頭を撫でた。
『――――、――、――』
そのあとは視線をあたしに向けて。
下草を踏みしめながらゆっくりと歩いてくると。
あたしのことを両腕でしっかり抱き留めてくれるのだった。
あたしはそのぬくもりを。
ニセモノなんかじゃない〝ホンモノ〟のぬくもりを――心から感じて。
いつもの言葉を、伝える。
「――おかえりなさい、
こうして森の奥深くの塔での生活は。
そこで
末永く幸せに、続いていった――
≪了≫
==============================
これにて完結です……!
ここまでお読みいただいて本当に本当にありがとうございました!
カグヤたちの未来が永遠に幸せであらんことを作者としても祈り続けています。
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(今後の執筆の励みにさせていただきます――)
塔の上のカグヤさま★~記憶を失くした幽閉令嬢、理想の王子様と同棲が決まりましたが毎日ハチャメチャで困ってます。え、これって彼らなりの溺愛なんですか!?どう考えても夫婦漫才にしかみえません!~ ささき彼女!@受賞&コミカライズ決定✨ @tamaki_ta
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