第2話 救出
先輩が屋上に来なかった…………。
あたしは嫌な予感がしてすぐに教室へ恵奈と共に向かった。
「失礼しまーす、佐伯先輩いませんか?」
「あら、佐伯さんなら男子に呼ばれて外に行ったけど」
おっとりとした先輩が答えるとあたしは恵奈と二人で顔を見合わせた。
「探そう!」
恵奈と別れるとあたしは真っ先に旧校舎へと向かった。
旧校舎、恵奈の話によると取り壊しが決まっているが問題が起きて取り壊されていない生徒出入り禁止の場所だそうだ。
でも不良生徒をはじめたまり場と化しているそんなところ。
あたしのカンがそう告げていたのだ。
きっと小夜先輩は旧校舎にいると。
旧校舎に向かうと扉が開いたままになっている、一応施錠はされているが、ガラスが割れており誰でも入れるようになっている。
そんな昇降口の扉を進むと小さな悲鳴が聞こえた。
「小夜先輩!?」
あたしは声のする方に向かった。
そこは教室の一つだった。
小夜先輩は全裸で犯されている真っ最中だった……
割れた眼鏡のさきは焦点が合っておらず、空虚を見つめていた
「こんのぉ!!」
「がはっ!?」
状況を理性が判断するより先にあたしは行動に移していた。
覆い被さっている男に踵落としを決めると、気絶した男をどかし小夜先輩を抱き起こしていた。
その直後、頭に強い衝撃を受けた、頭を手にやると真っ赤な血がべっとりと手に付いていた。
「何すんのよ…………」
あたしは立ち上がるとぐるりと振り向いた。
制服を着ていない男は警棒を持っていた。その男が驚愕に目を見開いている直後、あたしの拳が顔面を捕らえていた。
「ぐふっ」
崩れ落ちる男に周囲にいた3年の先輩達は怯えた表情になっている。
そんな周囲を無視して小夜先輩を抱き起こそうと近づく。
小夜先輩があたしに気付いたとき焦点が合い、あたしの後ろを見ていた。
「釘崎さん、後ろ!」
「え?」
ざくり
鋭い痛みと軽い衝撃に動きが止まる。
気がつけば背中を女子の先輩に刺されていた。小さなカッターナイフの刃があたしを貫いたとき、振り向いた。
「なにすんのさぁ」
きっとその先輩は恐怖に違いない。
振り返るとナイフから手を離したギャルの先輩が腰を抜かして尻餅をついていた。
スカートに染みを作っていたから失禁もしてるんだろう。
「止しなよ、痛いじゃない」
ふらりふらりとその少女に向かい赤紫に変色していた拳を振り下ろそうとしたとき後ろから小夜先輩に抱きしめられていた。
「釘崎さんもうだめっ!!」
「小夜せんぱい…………」
「何やってるんですか!?」
「梨花!大丈夫!?」
鬼の形相の陽葵先生と心配そうな恵奈がやって来たところであたしの意識は途切れていった…………。
梨花と小夜の交換日記 こうすけ @kousuke_coc
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