第46話 昔の物語(10)
ただ、そんな状態では、漁村で育った相瀬がこの相良讃州の隠し子である可能性はほとんどないだろう。
みちるは
「その騒動のあと、藩が没落したっていう話をきいたんですけど」
「だから、それだって、どこから見るか、だよね」
「つまり、それは、年貢がそれまでほど取れなくなったってことだから。それはたしかにそうなの。でも、だから衰退したか、っていうとね、村の人たちから見れば、年貢が少なくなって、暮らしが楽になったっていうことかも知れない。
千菜美先生のコーヒーカップも、みちると
店員の
「さ。お話はこれぐらいにして、みちるさんには少し休んでもらったら?」
「あ、そですね」
咲恵は
「休む、って?」
「だから、寝たら、ってこと!」
みちるはわけがわからない。
「だってこれから本番だよ?」
「出発まであとだいぶ時間がある」
「でも、どこで?」
「わたしが案内する」
店員の浅野さんが言った。
「だから、そうしなさい」
そう言って、安心させるようににっこりと笑ってくれる。
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