第42話 昔の物語(6)
「じゃあ」
みちるは顔を上げてきいてみた。
「その
「浜では、いたことになってるわね」
先生は含みのある答えをする。
「もちろん実在しなかったとは言えないんだけど、ここの
「殿様の隠し子とか、家老の隠し子とかいうのは?」
「あんまり可能性はないわね。
相良易矩というのは、あの相良
でも、相瀬について聞くほうが先だと思う。
「じゃ、魚より速く泳げたとか、海蛇と戦って仲間を助けたとかは?」
「そういう話が最初に出てくるのは、『
隣では
先生の前なのにはしたないとみちるは思う。
「いてもおかしくはないの。この浜は
千菜美先生がちらっと咲恵を見た。咲恵がストローをくわえたまま、軽くうなずく。
先生は知っているのだと思った。
咲恵のお母さんが、その海女漁を復活させようとして事故死したことを。
「そんな抜群の技能を持った海女さんがいてもおかしくない。そして、たしかに、そのあとの時代だけど、相瀬って名まえを持つ海女さんは唐子浜に何人かいた。これは、
みちるはもう少しきいてみたかった。でも、海女の話になると、咲恵のお母さんの話に関係する話がもっと出てくるかも知れない。それで咲恵がいやな思いをするのはみちるとしてはいやだ。
話を変えることにした。
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