第3話 誰もかれもがモノを言う
誰もかれもが、川島将兵の死を語った。まるで全てのひとが、程度の差こそあれ自分には川島将兵の人生とその死について語る資格があるという自負を持っているようだった。
いくら川島将兵がメディアに露出して多くのひとの目に触れる商売をしていたからといって、ごく身近な親類縁者や関係者の数は通常考えうる常識的な範疇に収まるはずである。
しかし、そんなことはお構いなしに、川島将兵の死は全てのひとの脳裏の一角を占拠してしまったようだ。
単純に川島将兵の死を悲しむ声もあれば、不用意な憶測で彼の死を語らないように注意を喚起するモデル上がりの女性バラエティタレント、誰も事前にチェックをする者がいないのかと訝しめさせる女性タレントのSNSでの誤字脱字だらけの追悼文、心の健康を薄口に訴えかける元国会議員のタレント、欲望渦巻く百鬼夜行の芸能界では川島は優しすぎたと追悼しているのか故人を非難しているのか分からない関西の大御所女性タレントなど、様々に声高な意見が突発的な感情とともに発露された。
そして、この混乱をより強めさせる感情的な状況は川島将兵の死の理由を知る者にとっては何より好都合となった。
ガチョウ倶楽部殺人事件 明日のスナフキン @dima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ガチョウ倶楽部殺人事件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます