第122話 ダイヤモンドの価値




私は王都ラミリアにあるギルドラウンジの中に直接転移した。



ギルドラウンジ内のカウンターにいたララさんとリルさんが突然現れた私に驚くことなく、笑顔で駆け寄って来た。



「マリー様ー、お久しぶりです!!」

「待ってました!!」



リルさんの待ってました、の言葉は気になったけど、とりあえず私は再会を喜んだ。



「ところで、マーニャさんはいる?」

「はい。地下にいるので呼んで来ますね」



ララさんは笑顔でそう言うと、元気よく地下に走って行った。



うむうむ

相変わらずかわゆい子だ




「マリー様。おじさん顔になってますよ」

「ハッ!!」

「それでおじ様、いいえマリー様。こちらを」


リルさんは悪い顔で私に5枚の紙を渡して来た。




▪️クイーンヒドラ(S) ×1体

▪️ニンブルタートル(S)×3体

▪️クルースメイス(S)×約100体

▪️ドリームバク(A +)×1体

▪️デビルエレファント(A +)×1体




「これ、討伐依頼?」

「ラミリア王国の領内から届いた依頼です」

「被害状況は?」

「建物破壊はありますが、今は辛うじて人への被害は出ておりません。数日前の状況ですが•••」

「分かった。直ぐに行ってくるよ」



私はリルさんにダイヤモンドを託し、マーニャさんに査定をお願いして欲しいと伝えた。

リルさんはダイヤモンドを蕩けそうな顔で見ている。



「取らないでよ?」

「な、何を言ってるんですか!?取るわけないですよー」



私は『アイテム収納』から少し前まで自分が使っていた『ペアリングスキル』が付与された指輪を出して渡した。



「代わりにこれをあげるから。これを使えばいつでも私に連絡が取れるよ。依頼があったら呼んでね」

「いいんですか!?わぁ、サイズもぴったりです」

「私のお古でごめんね」

「嬉しいです!!装飾品をプレゼントされたのなんて初めてです。ありがとうございます!!」



リルさんの嬉しそうな顔を見て、私まで嬉しくなる。

なんだか、本当におじさんになってるな•••。




私はギルドラウンジの外に出ると、空中に浮かび、飛行を始める。




最初はクイーンヒドラ(S)




神速のスピードで移動し、あっという間に討伐場所に着くと、首が5つもある大きな魔物がいた。


近くには大きな街があるが、まだ被害はなさそうだ。




【グッ•バイ】



私の手から光の輪っかが放たれ、クイーンヒドラの首を5つ一気に刎ねた。



よし、完了。




そんな調子で、私は次々と魔物を討伐していく。





▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎

ニンブルタートル(S)×3体


【グッ•バイ】




▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎

クルースメイス(S)×約100体


【フォスフォシデライト(最大浄化魔法)




▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎

ドリームバク(A +)×1体


【アタミ】




▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎

デビルエレファント(A +)×1体



【グラン•クリュ】






そして、1時間程で討伐を終えると、『転移スキル』を使いギルドラウンジに転移した。




ギルドラウンジに転移すると、軽食が用意されているテーブルの前で揉めているリルさんとララさん、カウンターの中では唸っているマーニャさんの姿があった。



「「あっ、マリー様!!」

「マリー!!」



私に気づいた3人が同時に名前を呼んでくる。




「た、ただいま」



「マリー様、どうしてリルだけに指輪を??私に何か至らない点でも!?」

「マリー様は見る目があるのよ!!」

「マリー、このダイヤモンドは何なのよ!?ダイヤモンドなんて滅多に市場に出回らない伝説の鉱石なのよ!!」



3人は捲し立てるように各々で話し始めた。




私は自分の左手薬指にはめられているダイヤモンドの指輪を見て、心を落ち着ける。




にやぁ




それから、ララさんとギルドマスターのマーニャさんに『ペアリングスキル』を付与した指輪を渡す。



ララさんは満足気な顔をして、まるでダイヤモンドリングを見るような表情で宝石の着いていないただのシルバーの指輪を見ている。



マーニャさんも指輪自体は嬉しいのか、一瞬、静かになり、ありがとう、と言ってきたけど、直ぐに興奮した様子でダイヤモンドのことを聞いて来た。



私は魔族領で入手したことを素直に伝え、売りに出したいこともあらためて話した。




「こ、これは•••、いや、しかし•••」



マーニャさんは指輪を見ながら呟いている。



「マリー、これは王族や貴族に私の想像を遥かに超える金額で売れると思う。だから、今ははっきりした金額は分からない•••」

「なら、買取は難しいですか??」

「いいえ。こんな絶好の機会を逃す私じゃないわ。だから、今日はとりあえずの金額を支払うわ」



マーニャさんの話では、いったん仮の金額で買取り、その後の売値によって追加料金をくれるらしい。



「それで、金額は?」



8億円までいかないにしても、せめて5億円にはなって欲しい。




マーニャさんは両手を開いて、10の数字を作った。



「10億円!?」



これでアミューズメント施設が買える。

喜ぶ私にマーニャさんは言った。





「いいえ、100億よ」





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